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2018-02-22 平成30年第1回定例会(第2日目) 名簿
2018-02-22 平成30年第1回定例会(第2日目) 本文

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  1. 鹿児島県議会 2018-02-22
    2018-02-22 平成30年第1回定例会(第2日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-18
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(柴立鉄彦君)ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、代表質問    桑 鶴   勉 君    永 井 章 義 君  一、散  会       ━━━━━━━━━━━━━ 2    △ 代表質問 ◯議長(柴立鉄彦君)代表質問であります。  桑鶴勉君に発言を許可いたします。    [桑鶴 勉君登壇](拍手) 3 ◯桑鶴 勉君 平成三十年第一回定例会に当たり、自由民主党県議団を代表して質問いたします。  本日は、伝統的工芸品産業振興議員連盟の呼びかけにより、知事を初め執行部の皆様方、同僚議員が恒例の大島紬製品を着用しての本会議となりました。
     御案内のとおり、伝統的工芸品を取り巻く環境は、生活様式の変化等に伴い大変厳しい現状にあります。改めて、本県が国内外に誇る伝統的工芸品である大島紬、薩摩焼、川辺仏壇など、多彩な地場産業の魅力を広く世界に発信していくための多様な新商品の開発や情報発信など、幅広い取り組みに力を入れていく必要があると考えております。  さて、明治維新百五十周年の節目の年であります。  五十年前の明治維新百年であった昭和四十三年の県議会第一回定例会において、ちなみに、当時の議長は柴立議長のお父上であります柴立芳文氏でありましたが、金丸三郎知事は施政方針で、「ことしは、明治百年の記念すべき年であり、我々は、明治維新の原動力となった郷土の先輩たちを想起し、新たな決意のもと、この年を新しい世紀に向かって踏み出す第一歩の記念すべき年といたしたいものであります」、「私は、青少年諸君が、かつて我が先輩たちの示した国際的視野と創造的精神、さらにたくましい実践力と勇気を学び取り、郷土の発展と、進んでは国家社会のために尽くす心意気をもって、自己の未来を開かれんことを期待してやまないのであります」と述べております。  今日、グローバル化の進展、少子高齢化人口減少社会など社会環境は大きく変化しておりますが、この思いは全く同じであります。百五十周年の節目に当たり、改めて明治維新に思いをいたし、将来に向け奮起したいものであります。  ことしに入り、大河ドラマ「西郷どん」の放映も始まり、メディアにおいても明治維新関連の取り扱いが一挙にふえた感があり、県内でもさまざまなイベントや取り組みが行われております。これらを追い風として本県の観光・PRに持続的につなげていく一方で、改めて明治維新の意義を歴史的・文化的視点から再認識する取り組みが極めて重要であると考えるところであります。  さて、二月九日にピョンチャン冬季オリンピックが開幕いたしました。  昨年来の北朝鮮の弾道ミサイル発射や核実験など相次ぐ軍事挑発により、米朝の軍事衝突も現実味を増すなど世界を震撼させる朝鮮半島情勢が続く中、今度は一転して融和ムードの演出であります。金正恩朝鮮労働党委員長の新年の辞を契機に開始された南北対話、合同チーム結成や統一旗を掲げての合同入場など、「ピョンヤン五輪」とも皮肉られる文在寅政権の独断的な動きに韓国国民の間にも不満がくすぶっており、大会当初は日々報ぜられる動向に唖然とするばかりでありました。安倍首相が文大統領との会談で、「ほほえみ外交に目を奪われてはならない」と述べ、韓国による対話への過度な傾斜を牽制したのは当然のことであります。  大会も後半となり、連日の日本選手の活躍が続いている中、オリンピック後に向けた今後の北朝鮮情勢を注視していく必要があります。  それでは、早速、通告に基づき質問してまいります。  初めに、総務関係についてであります。  平成三十年度当初予算案について伺います。  国の平成三十年度予算案は、一般会計総額が九十七兆七千百二十八億円と六年連続で過去最大を更新しており、一方で、高齢化に伴い、社会保障費も過去最大の三十二兆九千七百三十二億円となり、全体の三割超を占めております。  地方財政については、一般財源総額が平成二十九年度から〇・一%増の六十二兆千百五十九億円で過去最大となり、このうち地方交付税は、アベノミクスの波及による景気回復で地方税の増収が見込まれるとして、自治体への配分額で二・〇%減の十六兆八十五億円と六年連続の減少となっております。  歳入面では、地方税等が一・〇%増の四十二兆四十八億円となっており、歳出面では、公共施設等の老朽化対策のための経費等を確保した上で、リーマンショック後の緊急対策として計上されてきた歳出特別枠を廃止したほか、まち・ひと・しごと創生事業費は、引き続き一兆円が確保されているとしています。  税制改正大綱では、地方税財政基盤構築の観点から、地方消費税の清算基準の抜本的な見直し等を行うこととなり、平成三十年四月以後に行われる清算について適用されることになっております。  県の平成三十年度当初予算案については、一般会計の総額で対前年度比〇・一%増の八千百七億六千二百万円と二年ぶりのプラス編成となっております。「新しい未来への航海 どんどん前進」と銘打ち、重点施策として、子育て支援や高齢者の生き生き支援のさらなる充実を掲げ、くらし保健福祉部の設置による体制強化を図るとともに、明治維新百五十周年関連事業として記念式典の開催や人材育成・観光振興などの施策に積極的に取り組むとするなど、行財政改革に取り組みながら、めり張りのある予算編成をしたとしております。  そこで伺います。  第一点は、県の平成三十年度当初予算編成に当たっての基本的な考え方と同予算に盛り込まれた具体的な施策についてお示しください。  第二点は、同予算編成における県税収入や地方交付税の見積もりについてお示しください。  第三点は、地方交付税が六年連続で減少していることに対する県の考えと対応についてお示しください。  第四点は、都道府県間で清算される地方消費税の清算基準の見直しの概要と本県への影響についてお示しください。  第五点は、行財政改革推進プロジェクトチームが示した平成三十年度当初予算編成における財政収支見通しで推計した仮試算において、マイナス七十八億円の収支差が見込まれておりますが、その解消のための取り組み実績についてお示しください。  次に、未利用財産の有効活用について伺います。  県では、平成二十年度に県有財産の対応方針を定めた県有財産有効活用方策を策定し、平成二十四年度までの五年間で二百億円の売却目標を掲げ、それ以降も引き続き、積極的売却に取り組んできているところです。  また、昨年四月に設置された行財政改革推進プロジェクトチームでは、自主的・自立的な財政運営のためには、歳出削減の取り組みとあわせて、自主財源の確保に向けた取り組みが重要であるとして、未利用財産の売却に向けた積極的、具体的な取り組みを進めることとしているところです。  これまでも、農業試験場跡地県工業試験場跡地及び鹿児島養護学校跡地を初めとする比較的大規模な未利用県有地の売却も含めた利活用については、本会議においても再三にわたり質問されてきておりますが、いずれもその具体的方針が示されていないところであります。  特に、鹿児島市の副都心として再開発が進みつつあるJR谷山駅周辺に近接している農業試験場跡地二十五・二十六・三十二街区については、これまで、医師会等を中心に、徳洲会が進出することに対し強い懸念が示され、双方の考えに相当の隔たりがあるとして、売却時期等については具体的に見通すことは困難な状況であるとしていたところであります。  しかし、昨年第一回定例会後、鹿児島徳洲会病院イオン鹿児島谷山店跡地へ移転する計画が報じられ、現在、整備が進んでおり、これまでの情勢が大きく変化したと認識しています。  また、工業試験場跡地については、当該跡地を含む鹿児島中央駅西口地区の土地の利活用について、これまで、JR九州、日本郵政、鹿児島市及び県で構成される連絡会で、陸の玄関口にふさわしい都市機能の充実・向上といった観点から協議がなされてきておりますが、昨年一月末を最後に開催されておらず、現在まで特に進展が見られていないところであります。  昨年、工業試験場跡地に面した市道の拡幅案への協力について、「県は、県民にとって最も望ましい利活用方法を検討中で、現段階では現有地を確保しておきたいとして、『現時点では承知できない』と市に伝えた」と報じられたところです。先般、市議会の特別委員会では、鹿児島中央駅西口再開発をめぐり、四者連絡会の早期再開を県に要望するよう市当局に要請したとのことであります。  鹿児島中央駅周辺は、九州新幹線全線開業等を契機にホテルやオフィスビルが次々と建設され、同駅東口は再開発が決定し、西口でもJR九州が複合ビルやマンションなどを計画するなど、駅周辺の再開発が始動しており、県も具体的な利活用の方向性を示すべき時期に来ていると考えております。  そこで伺います。  第一点は、今年度の未利用財産の売却実績及び県有財産有効活用方策後の売却実績についてお示しください。  また、今後の未利用財産全体の利活用、売却等の取り組み方針についてお示しください。  第二点は、昨年第一回定例会後の農業試験場跡地利活用具体的検討状況と今後の取り組み方針についてお示しください。  第三点は、昨年第一回定例会後の県工業試験場跡地利活用具体的検討状況と今後の取り組み方針についてお示しください。  次に、県民生活関係についてであります。  子育て支援、高齢者の生き生き支援への取り組みについて伺います。  国によると、昨年の年間出生数は約九十四万一千人と二年連続で百万人を割り込む見通しであるなど、少子化のペースが加速してきており、同時に高齢化も進んでおります。安倍首相は、この少子高齢化を国難と位置づけており、今後、総力を挙げて対策を講じ、人口減少に耐え得る社会の構築が急務となっております。  県においては、これまでも、子育て支援については、平成二十九年度末までの待機児童解消に向けて、認定こども園等の施設整備や保育士等の確保などさまざまな施策を展開されているところです。また、高齢者が住み慣れた地域で、健やかで安心して暮らせる社会づくりを推進するために、昨年八月に設置された県シニア元気生き生き推進会議から、高齢者の就労促進に向けた取り組みの推進などを求める提案書が提出されたと聞いております。  平成三十年度当初予算案において、知事の重点施策の二本柱である子育て支援と高齢者の生き生き支援についてはさらに充実するため、子育て支援関連事業に過去最大規模の総額三百四十六億円計上し、妊娠から出産、子育てまで切れ目のない支援を実施するとしております。また、高齢者生き生き支援関連事業にも過去最大規模の総額二百六十五億円を計上し、高齢者が安心して生きがいを持って暮らせるよう、さまざまな観点から支援を実施するとしております。  知事は、今般の組織機構改正により、くらし保健福祉部を設置し、さらに、同部に、子育て支援課と高齢者生き生き推進課を新設して、県政の重点施策の二本柱である子育て・高齢者支援をより一層推進される決意を示されたところです。  そこで伺います。  第一点は、くらし保健福祉部の設置など、今回の組織機構改革に込めた知事の思いや狙いをお示しください。  第二点は、過去最大規模の予算が計上された子育て支援関連事業における取り組みの方向性と新たな具体的施策についてお示しください。  あわせて、目標としていた今年度末の待機児童解消の達成状況及び今後の取り組みについてお示しください。  第三点は、同じく過去最大規模の予算が計上された高齢者生き生き支援における取り組みの方向性と新たな具体的施策についてお示しください。  次に、第三次鹿児島県男女共同参画基本計画の策定等について伺います。  少子高齢化の進行や人口減少社会の到来など社会経済情勢が急速に変化するとともに、個人の価値観やライフスタイルも多様化し、家族や地域社会のあり方も変化しております。このような変化に対応し、将来にわたって豊かで安心できる社会を築いていくためには、全ての人々がその人権を尊重され、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現が緊要な課題となっております。  このため、県では、平成十三年に制定した県男女共同参画推進条例及び平成二十五年三月に策定した第二次県男女共同参画基本計画に基づき、男女共同参画社会の実現に向けた取り組みを推進しているところでありますが、現行計画の計画期間が今年度までとなっていることから、来年度からの次期計画を策定する必要があります。  計画策定に当たり、現行計画の中間評価の結果や男女共同参画に関する県民意識調査の結果、また国の第四次男女共同参画基本計画、さらに現在の社会経済情勢の変化等を踏まえ、平成三十年度からの五年間の指針となる第三次鹿児島県男女共同参画基本計画の策定に向け、作業が進められているところです。  次期計画の基本的な考え方としては、男女共同参画社会の形成に向けた意識改革を基盤に据え、女性の活躍に視点を置きつつ、その前提となる職業生活、健康、地域生活における課題の解決に向けた真に実効性のある取り組みを進め、男性も女性も全ての個人がその個性と能力を十分に発揮できる社会の実現を目指すこととしていると聞いております。  そこで伺います。  第一点は、二次計画における目標達成状況及び課題についてお示しください。  第二点は、第三次計画策定に当たり、第二次計画における課題、県男女共同参画審議会パブリックコメントを踏まえ、第二次計画と比較して、主な特徴についてお示しください。  第三点は、第三次計画の実効性を高めるための取り組みについてお示しください。  第一回目の質問といたします。    [知事三反園 訓君登壇] 4 ◯知事(三反園 訓君)お答えいたします。  予算編成の基本的な考え方でございます。  平成三十年度当初予算編成に当たりましては、歳入・歳出両面にわたる行財政改革に徹底的に取り組みながら、財源不足をゼロとするとともに、財政調整に活用可能な基金残高を前年度と同額確保し、県債残高見込みを着実に縮小するなど、財政健全化に向けて手を緩めることなく取り組んだところであります。  その上で、魅力ある本県の素材─ポテンシャル─を最大限に生かし、新たな県政ビジョンで示す将来像の実現に向けた取り組みを進めつつ、子供からお年寄りまで全ての県民が安心して明るい展望を持って暮らせる社会を目指し、「新しい未来への航海 どんどん前進」するための予算として編成を行ったところであります。  具体的な施策についてであります。  まず、子育て世帯にとって住みやすい鹿児島、産み育てやすい鹿児島をつくるために、子育て支援にさらに力を入れていきたいと考えております。来年度当初予算においては、これまでにない最大規模の三百四十六億円の関連予算を計上したところであります。  特に、喫緊の課題であります産科医の確保につきましては、鹿児島大学と連携して、産科医が不足する地域の中核的な病院等へ産科医を派遣するほか、医師修学資金貸与制度に産婦人科等の特定診療科枠を設定するなど、新たな取り組みを実施したいと考えております。  また、出前女性健康相談によりまして、妊産婦が不安や悩みを相談しやすい環境をつくるなど、社会全体で子育てを応援する、かごしまウェルカムベビープロジェクトに取り組むこととしております。  また、高齢者が住み慣れた地域で、健康で生き生きと安心して暮らせるようにしなければなりません。来年度当初予算では、高齢者の生き生き支援関連事業に二百六十五億円を計上したところであります。高齢者の社会参加活動などに対しましてポイントを付与する制度に、新たな高齢者が参加した場合などに加算する地域デビューポイントを新設することとしております。  また、中高年層を対象とした地域における体操教室、料理教室、遊びの伝承等の活動を自治会などが立ち上げる際の支援に新たに取り組んでまいりたいと考えております。  この子育て支援と高齢者の生き生き支援は、重点施策の二本柱でありまして、引き続き、積極的に、重点的に力を入れて取り組んでまいります。  また、ことしは、明治維新百五十周年の国内外から多くの人々を鹿児島に呼び込む絶好のチャンスでもあります。来る五月二十五日には明治百五十年記念式典を、次代を担う子供たちの記憶に残る歴史的な大きな式典として開催するとともに、観光プロモーション、市町村、民間等と連携したイベントの展開など、これまで以上に強力に鹿児島の魅力を発信してまいります。  また、薩摩スチューデントの英国への派遣も実施するなど、観光振興、人材育成に全力で取り組んでまいりたいと考えております。  さらに、本県の基幹産業であります観光と農林水産業についても全力で取り組んでまいります。鹿児島のウェルネスや大河ドラマの放送効果を最大限に生かした観光振興、農林水産物の販路・輸出拡大、スマート農業の推進などによる攻めの農林水産業の展開などに積極的に、重点的に取り組んでまいります。  そのほかの各般の施策につきましても、今回の予算案に盛り込んでいるところであります。  なお、本県の財政状況は引き続き厳しい状況にありますことから、財政健全化に力を入れて取り組んでいかなければなりません。平成三十年度においても、行財政改革推進プロジェクトチームを中心に、行財政改革の取り組みを着実に推進してまいりたいと考えております。  今後とも、鹿児島に生まれてよかった、鹿児島に住んでよかった、そう思える鹿児島を目指し、全力で走り続けてまいります。  くらし保健福祉部の設置など、今回の組織機構改正に込めた思いや狙いについてのお尋ねがありました。  鹿児島の未来を担うのは子供たちであります。子育て世帯にとって住みやすい鹿児島、産み育てやすい鹿児島をつくることが何より重要であります。また、高齢者の皆さんが年を重ねることはつらいことではなく、すばらしいことだと感じることができる鹿児島、高齢者が地域の中で生きがいを持って暮らせる鹿児島を目指すことが重要であります。  県民の暮らしをよくしたい、少しでもよくすれば子育てもしやすくなる、高齢者も生き生きと暮らせる原点は、暮らしであります。そこに全てが網羅されております。これらの思いを込めまして、子育て支援と高齢者の生き生き支援に関する業務を一元化します。県民の暮らしに関する保健福祉の向上に総合的に取り組むために、くらし保健福祉部を設置しようとするものであります。  同部には、幼保連携、少子化対策、子供の貧困対策などの子育て支援に関する業務を一元化し、切れ目なく取り組むために子育て支援課を、また、高齢者の生きがいづくり、健康づくりなどの高齢者の生き生き支援に関する業務を一元化してさまざまな観点から取り組むため、高齢者生き生き推進課を設置することといたしました。  このほかにも、県民福祉の向上、県勢発展を見据え、観光や農業などさまざまな組織改正を行うこととしております。  子育て支援と高齢者生き生き支援関連事業における取り組みの方向性と新たな具体的施策についてであります。  私は、優しく温もりのある社会をつくっていきたいと考えております。県内のどこに住んでいても安心して子供を産み育てられる環境と、高齢者が生きがいを持って暮らしていける環境をつくっていきたいと考えております。  まず、子育て支援については、ひとり親家庭に対しましては、経済的支援を拡充するとともに、引き続き、親の就業に関する指導・助言、就業に有利な資格の取得に必要な費用の支給などを行うこととしております。経済的に困窮している家庭に対しましては、生活困窮者自立支援事業を活用した学習機会、居場所の提供、家計相談支援の拡充などに取り組むこととしております。また、経済的な理由から受診を控え、症状が重篤化することのないように、住民税非課税世帯の未就学児を対象に医療機関等での窓口負担をなくす制度を本年十月から導入いたします。  障害児につきましては、日常生活を営むために医療を要する状態にある障害児などが地域において安心して暮らしていけるように、適切な支援が行える人材を養成するための研修を実施してまいります。さらに、重度の障害があり、通所支援を受けるための外出が困難な障害児に対しましては、居宅を訪問し、生活能力向上のために必要な訓練等の支援を行う新たなサービスを実施する市町村を支援いたします。  次に、高齢者生き生き支援についてでありますが、新たに、食生活の改善による低栄養予防の普及啓発、介護施設について、元気な高齢者等が活躍できるよう、職場体験を通じた就業支援などに取り組んでまいりたいと考えております。  また、認知症高齢者等に優しい地域づくりに向けた機運の醸成を図るために、新たに県民週間を設定するなど、従来の事業についても拡充を図ることとしております。  さらに、高齢者がみずから行う生きがいづくり生活支援サービスの基盤等となる事業の創出、市町村等による高齢者の介護予防の取り組み等についても、引き続き支援してまいります。  このほかにもさまざまな事業を展開することによりまして、子育て・高齢者支援などの各種施策に全力で取り組んでまいります。 5 ◯総務部長(寺田雅一君)平成三十年度当初予算編成における県税収入や地方交付税の見積もりについてでございます。  平成三十年度の県税収入につきましては、本県経済の動向や県税収入の状況、地方財政計画における税収見込み等を勘案して見積もったところでございます。具体的には、個人所得の伸びや地方財政計画の見込み等による個人県民税の増収や、建設業や製造業を中心に法人二税の増収が見込まれますほか、核燃料税などの増収が見込まれますことから、平成二十九年度当初に比べますと三・二%増の一千四百八十四億一千九百万円を計上いたしております。  また、臨時財政対策債と合わせた実質的な地方交付税につきましては、県税の増等により減少することが想定されますことから、平成二十九年度当初に比べますと二・一%減の二千九百九十三億四千八百万円を計上しています。  地方交付税が六年連続で減少していることについてでございます。  平成三十年度の地方財政計画につきましては、実質的な地方交付税の全国総額が〇・四兆円の減となっており、六年連続で減少しているところでございます。これは地方税収の増などによるものと考えておりますが、地方交付税につきましては、本来の役割である財源調整機能財源保障機能が適切に発揮されることが重要であると考えております。  このため、地方交付税につきましては、地方における必要な歳出を適切に地方財政計画に反映し、その総額の確保を図るとともに、基準財政需要額の算定に当たりましては、過疎地域や離島といった条件不利地域、自主財源に乏しく財政力指数が低い地域などに最大限配慮を行うよう、県開発促進協議会等を通じまして、引き続き国に対して要望してまいりたいと考えております。  地方消費税の清算基準の見直しについてでございます。  地方消費税の清算基準につきましては、平成三十年度地方税制改正において、社会経済情勢や統計制度の変化等を踏まえ、地方消費税の税収をより適切に最終消費地の都道府県に帰属させるため、抜本的な見直しを行うこととされ、具体的には、清算基準に利用する統計データのうち、統計データの計上地と最終消費地が乖離しているものや非課税取引について除外し、統計カバー率を七五%から五〇%に変更するとともに、消費代替指標としての人口の比率を五〇%に高めることとされたところでございます。  今回の見直しによりまして、清算に係る本県のシェアは増加することとなり、平成三十年度当初予算においては三億五千万円程度の増収効果があるものと見込んでおります。  仮試算における七十八億円の収支不足解消のための取り組みの実績についてでございます。  歳入・歳出両面にわたる徹底した行財政改革の取り組みを進める中で、具体的には、事務事業の見直しといたしまして、例えば、県内の有効求人倍率が一倍を超えていることなどから、リーマンショック時の経済情勢に対応して設けられた離職者等への助成金を二年で廃止することとし、あわせて、現在課題となっております雇用のミスマッチ解消施策を新設する見直し、中小企業への事業創出支援など類似する助成制度の整理・再編、事業終了に伴い廃止することとした臨海環境整備基金の活用のほか、事務的経費の見直しなどに取り組んだところでございます。  また、歳入確保策といたしまして、未利用財産の売却、使用料・手数料の見直し、ネーミングライツの活用などに取り組んだところでございます。
     これらの取り組みによる効果額五十六億円と、収支見通しを上回る税収の伸びなどによる二十二億円を合わせまして、七十八億円の収支不足を解消することができたところでございます。  続きまして、未利用財産の売却実績と今後の取り組み方針についてでございます。  平成二十九年度における未利用財産の売却実績は、鹿児島臨海工業地帯一号用地や旧警察学校跡地など三十一件、二十六億円余りとなっており、当初予算で見込んだ十億円を上回っているところでございます。また、県有財産有効活用方策策定後の売却実績は、平成二十年度からの十年間で合計三百四十五件、百九十億円余りとなっております。  未利用財産につきましては、今後の利活用が見込まれないものはできるだけ早期に売却することとしており、売却が困難なものについては、貸し付け等による有効活用を図ることとしているところでございます。  現在、未利用地の売却または貸し付けを行うに当たりましては、それぞれの土地の置かれた条件・状況に応じた具体的な方策について、民間事業者等と意見交換を行うなどの取り組みを進めているところでありまして、今後とも、民間事業者等の意見も十分に活用しながら、未利用財産の積極的な売却等に努めてまいりたいと考えております。  農業試験場跡地利活用の検討状況等についてでございます。  農業試験場跡地につきましては、まとまった一団の土地であり、地域の活性化に寄与する施設等が整備されることが重要であると考えております。今後の対応につきましては、これまでの経緯も踏まえつつ、県民の方々にとってどのような活用方法が最も望ましいかという視点を持って、総合的に検討しているところでございます。 6 ◯企画部長(東條広光君)県工業試験場跡地利活用の検討状況等についてであります。  鹿児島中央駅西口地区の土地利活用につきましては、平成十八年度から、関係土地所有者から成る連絡会において協議を行ってまいりましたが、その後、平成二十六年度には、中央駅周辺や天文館地区において、民間による開発・検討が進んでいることも踏まえまして、各所有者において個別開発も含め、幅広に検討することとなったところであります。  県におきましては、県工業試験場跡地について、県民にとってどのような活用方法が最も望ましいかとの観点から、引き続き検討を行っているところであります。 7 ◯県民生活局長(中山清美君)待機児童解消の達成状況及び今後の取り組みについてでございます。  待機児童解消につきましては、各市町村で、子ども・子育て支援事業計画に基づき保育所等の定員増を図っており、県では、県子ども・子育て支援会議等を通じて市町村の取り組み状況を把握し、必要な支援や助言を行っております。また、国の交付金等を活用して保育所等の整備を支援し、平成二十一年度から二十九年度にかけて、約五千六百人分の定員増が図られる見込みであります。  各市町村では、現在、待機児童の解消に向けて、保育所等の空き状況を踏まえながら、保護者の希望に沿った保育所を利用できるよう鋭意調整に取り組んでおります。  県としては、引き続き、市町村の取り組みを支援するとともに、保育士等のキャリアアップ研修の開催や職場環境づくりの促進など、待機児童解消に積極的に取り組んでまいります。  男女共同参画基本計画につきまして、まず、第二次計画の目標達成状況及び課題についてであります。  二次計画では、男女共同参画についての教育・学習の充実を初め、九つの重点目標に沿って、子供たちの男女共同参画の理解を深めるための学習機会の提供、女性が働き続けられる職場づくりの促進など、さまざまな施策を展開してまいりました。その結果、基本計画の全市町村策定や県審議会等への女性委員の登用率などの数値目標で、達成または改善が図られております。また、県民意識調査では、固定的性別役割分担意識について否定派が肯定派を初めて上回るなど、意識変化が確認できたところであります。  一方で、同調査や中間評価から、家庭や地域社会での男女の地位の不平等感の解消や、男性の家事・育児参画への理解などが課題となっていると考えております。  次に、第三次計画の主な特徴でございます。  三次計画策定に当たっては、二次計画の課題に加え、審議会やパブリックコメントにおいて、女性活躍推進や性の多様性への対応、地域コミュニティーにおける男女共同参画の推進の必要性などの御意見をいただいております。このため、計画案では、女性活躍推進、性の多様性への理解促進、男女共同参画の視点に立った地域コミュニティーづくりなどを盛り込んで、六つの重点目標を定めたところであります。今後、これに沿って、男女ともに能力を発揮しながら希望する働き方ができる環境の整備や、家庭や地域での男女共同参画の理解促進、性の多様性に係る啓発や相談対応などに取り組むこととしております。  三次計画の実効性を高めるための取り組みについてでございます。  三次計画では、県女性活躍推進宣言企業制度登録数や、県等の管理的地位に占める女性職員の割合、男性の家事・育児時間など、二十五の数値目標を設定することとし、この達成に向け、審議会、庁内の推進本部において進行管理や評価を行うこととしております。  また、新たな取り組みとして、女性活躍の推進主体として各種経済団体や大学、JA等、県内の主要な団体で構成する県女性活躍推進会議を設置しており、同会議とも連携・協働しながら、計画の着実な推進に努めることとしております。    [桑鶴 勉君登壇] 8 ◯桑鶴 勉君 御答弁いただきました。  平成三十年度当初予算案については、歳入・歳出両面にわたり徹底した行財政改革や収支見通しを上回る税収の伸びなどにより、財源不足額なしの予算を編成し、新しい力強い鹿児島の実現に向けて、子育て支援や高齢者生き生き支援などの重点施策や明治維新百五十周年関連事業などに積極的に取り組むとしております。今後、詳細について審議してまいります。  未利用財産の有効活用についてでありますが、鹿児島市でさまざまな都市再開発プロジェクトが動き出している中、玄関口である鹿児島中央駅西口地区と谷山の農業試験場跡地の利活用については、これまで再三にわたる質問にもかかわらず、一向に進展が見られないことに大きな疑問を持つものであります。これらは極めて重要な意義を有する案件であり、具体的方向性を示すべく、県の積極的かつ着実な取り組みを強く要望いたします。  子育て支援、高齢者の生き生き支援については、知事が掲げられる重点施策の二本柱であり、積極的な取り組みを期待するところであります。  県男女共同参画基本計画についてでありますが、人口減少が続く中で、就業者数はことし過去最高となる見込みであり、特に女性の就業率は既に米国を抜き、主要先進国の水準になっているとのことであります。さらなる女性活躍の推進のためには、育児と仕事との両立のための働き方改革などの環境整備にも力を入れていただくよう要望いたします。  次に、危機管理関係についてであります。  川内原子力発電所に係る防災対策について伺います。  川内原子力発電所については、一、二号機ともに平成二十七年に再稼働した後、定期検査や知事の要請を受けた特別点検も経て、現在のところ特段の問題もなく通常運転が継続されており、一号機については先月二十九日から定期検査に入り、五月に原子炉の起動が予定されているところであります。  平成二十八年十二月に設置された県原子力安全・避難計画等防災専門委員会は、今年度もこれまで三回開催され、川内原発の安全性の確認や避難計画など防災に関する検証、県民にわかりやすい情報発信について、各委員それぞれの技術的・専門的見地から意見や助言が出され、議論されているところであります。  昨年十一月に開催された今年度第三回目の同専門委員会においては、引き続き、川内原発の安全性の確認について議論されるとともに、今年度の原子力防災訓練の概要や安定ヨウ素剤の配布等に関する検討内容が示され、各委員から御意見いただいたところです。  今年度の原子力防災訓練は、専門委員会における意見等も踏まえ、大規模地震の発生により川内原発でシビアアクシデントが発生し、その後、放射性物質が放出されたとの想定のもと、事故の進展に応じて、段階的避難に係る住民理解や関係機関との連携の習熟を図るため、地域防災計画に基づき、国、県、関係九市町及び実動組織等が協働・連携し、約四千四百人が参加して今月三日に実施されたと聞いています。  また、安定ヨウ素剤の配布については、昨年の第四回定例会において、UPZ圏内の居住者のうち、障害や病気により緊急時の受け取りが困難であるなど一定の要件に該当し、希望する住民の方々への事前配布について、「今年度中に準備を整え、平成三十年度のできるだけ早い時期に実施したい」との答弁がなされております。  そこで伺います。  第一点は、今年度の原子力防災訓練の総括及び課題についてお示しください。  第二点は、同訓練等を踏まえた避難計画の見直しなど、原子力防災対策の取り組みについてお示しください。  第三点は、UPZ圏内の受け取りが困難な方々への安定ヨウ素剤の事前配布について、具体的な実施方法と実施時期をお示しください。  次に、国体・全国障害者スポーツ大会についてであります。  二〇二〇年開催の第七十五回国民体育大会「燃ゆる感動かごしま国体」及び第二十回全国障害者スポーツ大会「燃ゆる感動かごしま大会」については、昨年七月に、本県での開催と会期が正式に決定し、八月八日には実行委員会が設置され、開催準備に鋭意取り組まれているところであります。  国体、全国障害者スポーツ大会の開催が再来年となる中、今後、競技会場等の整備や両大会の開催に向けた機運醸成、ボランティアの養成などに、より一層取り組んでいかねばなりません。  両大会とも、既存施設の有効活用等による簡素・効率化を図ることとしており、開・閉会式の会場となる県立鴨池陸上競技場を初め、競技会場等の必要な改修も進んでいるところでありますが、引き続き、計画的に取り組むことが必要であります。また、全国障害者スポーツ大会については、運営に当たり、障害のある参加者等への配慮に向けた取り組みが求められます。  さらに、同年には東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催され、国民のスポーツに対する関心が一層の高まりを見せる中、両大会を成功させるには、開催に向けた機運醸成を図り、県民一人一人の参加が不可欠であり、さらなる広報活動や県民運動の充実を図る必要があります。  その一方で、鹿児島国体に向けた選手の競技力については、目標を天皇杯・皇后杯獲得に掲げておられますが、昨年の愛媛国体の結果、天皇杯三十三位、皇后杯二十三位を見ますと、二年後、果たしてその目標を達成できるのか疑問と言わざるを得ず、抜本的な強化対策が急務であります。  県においては、平成三十年度の組織機構改正で、国体・全国障害者スポーツ大会局に国体業務の一元化を図るとともに、天皇杯・皇后杯の獲得に向け、競技力向上対策課を設置し、また、第二十回全国障害者スポーツ大会「燃ゆる感動かごしま大会」の開催準備業務を着実に推進するため、全国障害者スポーツ大会課を設置することとしております。  そこで伺います。  第一点は、競技会場等の整備に向けた取り組みについてお示しください。  第二点は、全国障害者スポーツ大会「燃ゆる感動かごしま大会」の運営に向けた取り組みについてお示しください。  第三点は、両大会の開催に向けた機運醸成や県民総参加の取り組みについてお示しください。  第四点は、鹿児島国体での天皇杯・皇后杯の獲得を着実なものにするためには、次回の福井国体に向けての強化が重要であると思いますが、福井国体での目標と、特に重点を置いて取り組むべき選手強化策についてお示しください。  次に、農政関係についてであります。  国際的な経済連携協定について伺います。  日本とEUとのEPA交渉が昨年十二月、妥結に至り、また、アメリカを除くTPP11は、協定の内容が確定し、本年三月にチリで署名式を行うこととなっております。この二つの経済連携協定は、手続が順調に進んだ場合、ともに平成三十一年に発効することになり、農林水産物の関税が削減もしくは撤廃されることになります。  政府は、昨年十一月には、平成二十七年に策定した総合的なTPP関連政策大綱を改訂して、日EU・EPA対策を追加するとともに、平成二十九年度の補正予算において、大綱に基づく施策の実施に要する農林水産関係予算として三千百七十億円が措置されたところであります。  こうした対策を踏まえた上で、政府は昨年十二月、日EU・EPA等の経済効果分析を公表し、GDPの押し上げ効果として、TPP11で約八兆円程度、日EU・EPAで約五兆円程度が見込まれるとしたところであります。また、あわせて、国内農林水産物の生産額への影響については、TPP11によって九百から一千五百億円の減少、日EU・EPAによって六百から一千百億円の減少と見込む試算結果を公表したところです。  国は、今回の試算で、農林水産物価格の低下による生産額の減少が生じるものの、国内対策により生産と農家所得が確保され、国内生産量は維持できると見込んでいますが、木材や豚肉など本県と関連の深い農林水産物の関税撤廃や削減が決まったことに対し、県内の農林事業者等から不安の声が上がっております。  そこで伺います。  第一点は、TPP11及び日EU・EPAによる本県農林水産物の生産額への影響を試算しないのか、県の見解をお示しください。  第二点は、TPP11及び日EU・EPAの発効に向けた手続が進められていく中で、本県の農林水産業を維持・発展させていくため、今後、県としてどのような対策を講じていくのか、お示しください。  次に、農林水産物の輸出促進について伺います。  国においては、攻めの農林水産業の実現に向け、農林水産物・食品の輸出額一兆円達成の目標時期を平成三十一年に前倒しし、農林水産業の輸出力強化戦略に基づく各般の施策を講じているところです。  県の調査によると、県産農林水産物の輸出額は、平成二十八年度には前年度に比べて二〇%増加し、過去最高の百五十五億円となるなど、年々着実に増加しております。今後、国内の食市場の減少が見込まれる中、県では、国際経済連携等によるグローバル市場の出現を新たなビジネスチャンスと捉え、県産農林水産物のさらなる輸出拡大に向けた指針となる鹿児島県農林水産物輸出促進ビジョンの策定を進めています。昨年十二月に公表された案では、平成三十七年度の輸出額を基準年である平成二十八年度の二倍となる約三百億円に設定するとされております。  また、県、ヤマトホールディングス、ANA総合研究所、鹿児島アグリ&フード金融協議会の四者で締結した県産品の販路拡大等に関する連携協定に基づき、昨年十二月、県産品の輸出拡大に向けた新たな輸送スキームの構築が発表されました。ことし二月初旬には、同スキームの活用を図るため、海外バイヤー等を招聘した輸出商談会が鹿児島市内で開催されたところであります。  そこで伺います。  第一点は、今年度策定する鹿児島県農林水産物輸出促進ビジョン案の要点及びビジョンの数値目標等の達成に向けた今後の具体的取り組みについてお示しください。  第二点は、県がヤマトホールディングス等と結んだ連携協定に基づく新たな輸送スキームの特徴と、今後どのように活用していくのかお示しください。  次に、農業法人等の労働力不足の現状認識と今後の対応について伺います。  農村の過疎化・高齢化が進む中、本県の基幹産業である農業を今後も持続的に発展させていくためには、効率的かつ安定的な経営を目指す担い手の確保・育成が必要であり、農業経営の法人化などの取り組みを支援していくことが必要であります。  農業法人等は、経営の規模拡大や多角化を行う際、人材確保のため、ハローワークや自社ホームページでの求人などさまざまな取り組みを行っているものの、十分な人材確保ができず、外国人技能実習生に頼らざるを得ない状況も見られるところであります。また、技能実習生を受け入れた場合でも、どこに、どのような手続を行えばよいのかわからないといった声も聞いております。  このような中、県においては、昨年の第二回定例会において、「農業法人等を対象に雇用状況に関するアンケート調査を実施した上で、労働力確保に向けた支援策を検討する」としていました。平成三十年度当初予算においては、農業法人等の労働力確保に係る支援体制を整備するための予算が計上されております。  さらに、県では、本県の基幹産業である農林水産業において労働力の安定的確保を図るため、昨年十一月二十七日、県内の農林水産業に外国人の就労を可能とするための規制緩和について、内閣府に対し、国家戦略特区の提案を行ったところです。提案が認められれば、一定の技術やノウハウを身につけた外国人を即戦力として柔軟に活用できるようになることが期待されております。  そこで伺います。  第一点は、県が行った農業法人等の雇用状況に関するアンケート調査結果の概要についてお示しください。  第二点は、農業法人等の労働力確保に向け、今後取り組むこととしている県としての支援体制の内容についてお示しください。  第三点は、国家戦略特区提案の概要と期待される効果について、県の見解をお示しください。    [知事三反園 訓君登壇] 9 ◯知事(三反園 訓君)今年度の原子力防災訓練の総括及び課題についてであります。  今年度の原子力防災訓練につきましては、今月三日に、およそ百九十機関、四千四百人が参加するなど過去最大規模の訓練を国や関係市町と連携して実施し、情報伝達や段階的避難などの手順を確認いたしました。  今回の訓練では、専門委員会の御意見、前回の訓練後の反省会で出された意見等を踏まえまして、熊本県津奈木町への広域避難訓練を初め、保育園での園児の保護者への引き渡し訓練など、六項目の新たな訓練を実施したほか、災害発生直後の初動対応訓練、安定ヨウ素剤の緊急配布訓練など、昨年度より内容を拡充した訓練ができたものと考えております。  災害対策本部会議で指揮をとった後に、消防・防災ヘリで出水市総合運動公園に向かい、避難退域時検査訓練において車椅子利用者の除染の状況等を視察したほか、オフサイトセンターでの現地災害対策本部訓練の状況を視察しました。関係機関や住民の方々が真剣に取り組んでおられる姿を直接確認し、訓練を積み重ねることの重要性を改めて感じたところであります。  訓練後の住民へのアンケートや関係機関による反省会においては、高速道路の利用によりバスでの避難がスムーズに行えた、決められた避難ルートが通れない場合における対応が必要だ、避難元と避難先の市町の連携についてさらなる習熟が必要などの意見が出されたところであります。また、専門委員会の委員にも訓練の状況を視察していただいておりますので、次回の委員会において御意見いただくこととしております。  今後、反省会で出された意見、専門委員会からの御意見などを踏まえまして、次回の訓練に生かすとともに、放射線防護施設、防護資機材の整備を進めるなど、引き続き、県民の安心・安全を確保する観点から、川内原発に係る防災対策の充実・強化に全力で取り組んでまいります。  安定ヨウ素剤の配布についてであります。  県においては、UPZ圏内の住民で、障害や病気により緊急時の受け取りが困難であるなど一定の要件に該当し、希望する方を対象に安定ヨウ素剤を事前配布することとしております。  その手順といたしましては、まず、UPZ圏内全ての世帯に、事前配布に係るパンフレット及び事前配布申請書を配布いたします。また、ホームページでの掲載など、県と関係市町が連携しまして十分な周知を図ることとしております。その上で、要件に該当し、事前配布を希望される方については、PAZ圏内における配布方法と同様に、配布説明会において服用方法等について説明するとともに、問診などを行った上で配布することとしております。  事前配布につきましては、平成三十年五月から順次開始したいと考えております。  国際的な経済連携協定の進展に伴う県としての対応策についてであります。  国際的な経済連携協定におきましては、牛肉・豚肉などの関税を一定の期間かけて削減していくことなどから、国産品の価格低下による生産額の減少など、本県の基幹産業であります農林水産業への影響が懸念されております。  県といたしましては、これまで、国の補正予算等を活用して農林水産業の体質強化対策を進めてきたところでありまして、平成二十九年度三月補正、平成三十年度当初予算におきましても、畜産クラスター事業、森林整備・林業木材産業活性化推進事業等を計上し、肉用牛や木材等の生産基盤の強化など、守りを固めることとしております。  一方で、見方を変えますと、国際化の進展は、和牛日本一の鹿児島黒牛、かごしま黒豚、ブリ・カンパチなどのすばらしい農林水産物に恵まれた鹿児島にとりましては大きなチャンスでもありまして、これを生かしていく必要があると考えております。このため、今後とも、関係機関・団体と一体となりまして、これらのすばらしい素材を世界に向けて打って出る攻めの展開につなげ、世界に挑戦する競争力のある農林水産業の実現に向けた取り組みを強力に進めてまいりたいと考えております。  農林水産物輸出促進ビジョンについてであります。  今回取りまとめたビジョン案は、平成三十七年度の県産農林水産物の輸出額を、平成二十八年度の二倍となりますおよそ三百億円まで拡大することを目標としておりまして、輸出重点品目、輸出重点国・地域を明確にした上で戦略的な取り組みを展開していくこととしております。  ビジョン案の実現に向けては、「つくる」、「あつめる・はこぶ」、「うる」の三つの視点から合計十八の具体的な取り組みを取りまとめたところであります。平成三十年度においては、「つくる」の視点から、輸出相手国の残留農薬基準に対応した生産技術の指導、「あつめる・はこぶ」の視点から、定期船便の活用等による本県の地理的優位性を生かした低コスト輸送の実証、「うる」の視点から、県産農林水産物の認知度向上、ブランド確立を図るための輸出用統一ロゴの作成などに取り組むこととしておりまして、平成三十年度当初予算案に所要の経費を計上したところであります。  今後とも、この輸出促進ビジョンに基づきまして、オール鹿児島で県農林水産物の輸出拡大を目指した取り組みを強力に進めてまいりたいと考えております。 10 ◯危機管理局長(田崎寛二君)原子力防災対策の取り組みについてであります。  原子力防災対策につきましては、これまでの訓練の結果や専門委員会の御意見等も踏まえ、原子力災害時において避難される方の汚染状況を確認する避難退域時検査場所について、関係自治体等と協議し、候補地二十一カ所を選定したところであります。また、原子力災害時におけるオペレーション等を具体的に示した川内地域の緊急時対応を今年度中に見直すこととしているほか、避難時におけるさまざまな状況を想定した避難時間シミュレーションを行いたいと考えております。  このほか、原子力だよりなどにより、県民へのわかりやすい情報発信に努めているところであり、今後とも、避難計画や原子力防災訓練の見直しを進めるなど、引き続き、川内原発に係る防災対策の充実・強化に取り組んでまいります。 11 ◯国体・全国障害者スポーツ大会局長(中薗良郎君)国体・全国障害者スポーツ大会について、初めに、競技会場となる施設整備に向けた取り組みについてであります。  競技会場となる県有施設のうち、鴨池陸上競技場については、今年度でメインスタンドや電光掲示板などの改修を終え、来年度にかけてトラックやサイドスタンドの改修を行い、野球場については、今年度でグラウンドの改修を終え、来年度以降、スコアボードの改修を行うこととしております。
     市町村等の施設については、今年度は十七市町の三十五施設で改修が進められており、このうち四市町の六施設については、今年度で整備が終わる予定であります。来年度は、鹿児島市の桜島総合体育館を初め、十八市町の三十七施設で改修が進められる予定であります。  今後とも、平成三十一年度から実施されるリハーサル大会を含めて、国体の開催に支障が生じないよう必要な整備を進めてまいります。  続きまして、「燃ゆる感動かごしま大会」の運営に向けた取り組みについてであります。  「燃ゆる感動かごしま大会」については、県実行委員会の全国障害者スポーツ大会専門委員会において、競技会の運営やボランティアの養成などについて協議し、準備を進めております。  競技会場については、今年度行ったバリアフリー調査の結果を踏まえ、来年度は、参加者の障害特性に配慮した動線や、必要となる仮設スロープの配置などの会場整備基本設計を行うこととしております。また、今年度から、手話などを行う情報支援ボランティアの養成を開始しており、来年度からは、選手の介助などを行う選手団サポートボランティアなどの募集・養成も行うこととしております。  今後とも、競技役員の養成や競技用具の整備なども図りながら、参加者などに配慮した円滑な大会運営が行えるよう取り組んでまいります。  両大会の機運醸成や県民総参加の取り組みにつきましては、ホームページの開設や広報紙の発行、広報ボランティアによるPR、イメージソングやダンスの定着などに取り組んでおります。また、機運醸成を図る県民運動の一つとして、おもてなしや花いっぱい運動などを支援するための募金や企業協賛の募集を先月から始めたところであります。来年度は、公式ポスターのデザイン募集やカウントダウンボードの設置、開催二年前イベントなどを行うとともに、県民運動の参加団体や大会運営ボランティアなどの募集も行うこととしております。  今後とも、県民総参加で県民の心に残る大会となるよう、両大会の周知や開催機運の醸成に取り組んでまいります。 12 ◯教育長(古川仲二君)福井国体の目標と今後の選手強化策についてでございます。  平成二十四年度に策定いたしました次期国体に向けた競技力向上計画では、ことしの福井国体において、総合成績十位台前半を目指すこととしているところでございます。このようなことから、今後の鹿児島国体に向けての競技力向上対策については、これまでの企業等と連携した有力成年選手の確保・強化に一層努めるとともに、少年選手の育成・強化、団体競技の強化、鹿屋体育大学との連携強化をさらに充実することにいたしております。  この上で、特に来年度からは重点強化策として、全ての競技団体が福井、茨城、鹿児島の国体ごとに設定した目標を実現するための戦略ビジョンに基づき、県外遠征合宿等の増加による選手強化を図るとともに、トップアスリートを強化指定校の強化指導員等として獲得することといたしております。  鹿児島国体においては、天皇杯・皇后杯を獲得するという決意のもと、危機感を持って各競技団体等と連携し、オール鹿児島でさらなる競技力向上に取り組んでまいりたいと考えております。 13 ◯農政部長(川野敏彦君)国際的な経済連携協定に関しまして、TPP11等による本県農林水産物の生産額への影響についてでございます。  国は、TPP11等の合意を受け、昨年十一月に国内の農林水産業等への支援策を追加した大綱を策定し、平成二十九年度補正予算などにおいて、体質強化や輸出力強化を図るための措置を講じたところです。また、十二月には、大綱に基づく政策対応を考慮した上で、農林水産物の生産額への影響について試算結果を公表しました。  県としては、体質強化対策や経営安定対策などの取り組みが進められているところであり、また、協定発効後の市場動向等も見通せない状況にありますことから、確たる数字として本県農林水産業への影響額を出すまでには、もう少し時間がかかるものと考えております。  農林水産物の輸出促進に関しまして、輸出拡大に向けた新たな輸送スキームについてでございます。  ヤマトホールディングスなどと連携した東南アジア向けの新たな輸送スキームは、鹿児島港発の定期船便と沖縄国際物流ハブ空港発の定期航空貨物便を活用するものであり、例えば鹿児島から香港へ船便で送る場合と比べまして、輸送日数が八日から四日へ短縮でき、また福岡空港から航空輸送する場合と比べますと、輸送コストを二割から三割程度削減できるものとなっております。先般、この新たな輸送スキームの活用に向けた商談会を鹿児島市において開催し、現在、商談の成約も徐々に進みつつあるところです。  今後とも、四者で連携し、輸出に意欲的な事業者の掘り起こし活動や海外バイヤー等を招聘した商談会の開催など、県産農林水産物の輸出拡大に努めてまいります。  農業法人等の労働力不足に関しまして、まず、農業法人の雇用状況に関するアンケート結果についてでございます。  県では昨年七月、県内約一千二百の農業法人を対象に雇用実態調査を実施し、約四百法人から回答を得たところです。調査からは、収穫時期などを中心に約八割の農業法人が労働力不足を感じており、また、この一年間に求人を行った法人のうち、約七割は十分な労働力を確保できなかったなどの実態が明らかになりました。そのほか、五十一の農業法人において二百九十人の外国人技能実習生を受け入れていることも判明したところです。  次に、農業法人等の労働力確保に向けた県としての取り組みについてでございます。  今回の調査により、労働力不足の実情が明らかになったことから、県では来年度新たに、仮称でございますが、農業労働力支援センターを設置することとしております。同センターでは、農業分野における求人・求職情報の収集・マッチングに加え、農業法人間で労働力を補完し合う仕組みの検討などを行いたいと考えております。また、センター内に外国人技能実習生の監理団体などの関係者を含めた協議会を設置し、農業法人等への相談体制も整備したいと考えております。  県としては、このような取り組みを通じ、農業法人等の労働力不足の解消に向けた支援に努めてまいります。  次に、昨年提案しました国家戦略特区の概要と期待される効果についてでございます。  本県の基幹産業である農林水産業においては、労働力不足が顕在化していることなどから、昨年十一月、農林水産分野における外国人就農を可能とするための国家戦略特区の提案を行ったところです。この提案は、外国人労働者を受け入れるための入管法の規制緩和や公営住宅の入居条件の緩和、国民年金等の納付免除を内容とするものとなっております。提案が実現しますと、安定的な労働力の確保につながり、農業法人等の生産体制の強化や外国人材を活用した海外展開の促進に寄与するものと期待しております。    [桑鶴 勉君登壇] 14 ◯桑鶴 勉君 御答弁いただきました。  川内原子力発電所に係る防災対策については、引き続き、訓練の実施結果を踏まえた避難計画の見直しなどにより、地域防災体制の整備について、継続的に実効性の確保に努めるとともに、国や関係市町等と連携して、川内原発に係る防災対策の充実・強化に全力で取り組むよう要望いたします。  国体・全国障害者スポーツ大会については、施設整備や開催準備を着実に進めるとともに、県民の機運の醸成に努めていただくよう要望いたします。  また、肝心とも言える競技力強化対策については、毎回申し上げておりますが、今回の組織改革による体制強化が結果につながりますよう、さらなる本腰を入れた抜本的な強化対策に取り組むよう強く要請いたします。  国際的な経済連携協定については、県産品の輸出拡大による攻めの農林水産業の実現を目指す取り組みが必要である一方で、県内の農林水産業者の不安に対する現実的な影響試算や具体的対応策について丁寧に説明することが重要であり、県の積極的な取り組みを要望いたします。  農林水産物の輸出促進については、全国の農林水産物輸出額は四年連続で過去最高を更新したものの、伸びが鈍化しているとのことでありますが、本県産は和牛、緑茶を初めとして好調を維持しております。産地間競争も激しくなる中、新たな輸出促進ビジョンに基づくさらなる戦略的な取り組みを要望いたします。  農業法人等の労働力不足の現状と今後の対応については、来年度予算に、安定的な労働力の確保を図るための農業人材確保対策事業が計上されたところであり、今後、さらなる対策強化に向けた取り組みを要望いたします。  次に、PR・観光戦略関係についてであります。  新鹿児島PR戦略及び新たなキャッチコピーについて伺います。  ことしから二〇二〇年まで、明治維新百五十周年や大河ドラマ「西郷どん」の放送、奄美の世界自然遺産登録予定、国民体育大会の開催など、国内外へ本県の多様な魅力をアピールする絶好の機会となっております。このような状況を踏まえ、本県の新しいPR戦略については、鹿児島の農畜林水産物のブランド力強化や観光のPRに資するとともに、今の時代に合った、より具体的で効果のあるものに変える必要がありますことから、このほど新鹿児島PR戦略が策定され、あわせて、新たなキャッチコピー「どんどん 鹿児島」も決定されたところであります。  知事は年頭の記者会見において、このキャッチコピーについて、「リズミカルで前向きなイメージであり、汎用性がある。農畜水産物をどんどん輸出したい、観光もどんどん促進したい、鹿児島をどんどんPRしたい」と発言されています。  新鹿児島PR戦略のもと、このキャッチコピーも積極的に活用し、県内外及び海外に向けて、本県の特色ある豊かな自然、良質な温泉、焼酎、和牛日本一の鹿児島黒牛、かごしま黒豚、黒さつま鶏などの食、個性ある歴史・文化などの魅力を効果的かつ戦略的にPRすることで本県のイメージアップを図り、県産品の販売促進や観光客を初めとする交流人口の拡大につなげ、ひいては県民所得の向上を図ることが期待されるところであります。  そこで伺います。  第一点は、新鹿児島PR戦略の基本的な考え方、PRコンセプトについてお示しください。  また、これまでのかごしまPR基本戦略との違いや特徴的な点をお示しください。  第二点は、新鹿児島PR戦略に基づき、今後どのように展開していくのか、来年度以降の取り組みの方向性等についてお示しください。  第三点は、新たなキャッチコピー「どんどん 鹿児島」の活用法についてお示しください。  次に、明治維新百五十周年や西郷どんを契機とした観光振興等について伺います。  いよいよ明治維新百五十周年の節目の年を迎え、昨年のカウントダウンイベント等に続き、県内各地でかごしま明治維新博が展開されています。一月には、鹿児島市加治屋町に維新ドラマの道も完成し、AR─拡張現実─の技術を採用したモニュメントが設置されたところであります。  五月二十五日には、国内外からの注目が集まるこの契機を最大限に生かすため、明治百五十年記念式典の開催が予定されており、知事は年頭の記者会見において、「子供たちの記憶に残る歴史的な大きな式典にする」と発言されています。  先月からはNHK大河ドラマ「西郷どん」の放送が開始されました。力強くドラマチックに人物や時代背景が描かれており、今後の展開に期待が高まっております。鹿児島市の西郷どん大河ドラマ館、いぶすき西郷どん館、日当山西郷どん村などもオープンし、県と主要観光地等が一体となって、西郷どんをメインテーマに本県の魅力のPRを行っており、誘客促進が期待されています。  これらの絶好の機会に、ハード・ソフト両面の受け入れ体制を整備し、今後の観光需要につなげるとともに、この集客効果を一過性のものとせず、何度も訪れてもらえるように地域の魅力を磨き上げ、発信していくことが課題であります。  ところで、県は昨年三月に、西郷どんキャンペーンに係るロゴマークやキャラクターイラストを作成しております。県内で西郷どんのイラストをデザインした商品等を目にする機会もふえており、西郷どんのピンバッジは好評を得ているようであります。多くの人がすぐにそれとわかり、鹿児島県を思い浮かべる西郷どんは、強力な観光資源と言えます。この魅力的なキャラクターを幅広く活用し、PRできれば、大きな経済効果が期待できると考えます。  また、昨年第三回定例会において知事は、県民の日制定について、「県民の方々や県議会の理解が得られれば検討を進めたい」と答弁されています。他都道府県においては、オリンピックや国体の開催記念のほか、県の創設記念等を契機として、県民の日を制定しており、近年、制定する自治体もふえてきております。県民の日を制定することで、県民の方々がふるさとを再認識し、郷土に対する親しみや愛着を深めるよい機会となると考えられます。  そこで伺います。  第一点は、明治百五十年記念式典の内容と明治維新百五十周年記念事業の今後の取り組みについてお示しください。  第二点は、明治維新百五十周年や西郷どんによる誘客効果を一過性のものではなく継続的なものにするために、どのような取り組みを行っていくのかお示しください。  第三点は、西郷どんのロゴマークやキャラクターイラスト等を大いに活用し、大きな経済効果につなげていけるよう県を挙げて取り組むべきと考えますが、どのように取り組んでいくのかお示しください。  第四点は、明治維新百五十周年を契機とした県民の日の制定について、改めて県の考え方と今後の取り組みについてお示しください。  次に、伝統的工芸品等の振興について伺います。  冒頭で申し上げましたが、本日は大島紬着用の日であります。  本県は、自然、温泉、食、文化など多彩な魅力にあふれており、さらに、国指定の伝統的工芸品である大島紬、薩摩焼、川辺仏壇のほか、薩摩切子など国内外に誇るさまざまな地場産業が脈々と受け継がれ今日に至っており、本県の多彩な魅力の一翼を担っております。しかしながら、消費者の嗜好の変化や担い手の高齢化、後継者不足などにより、特に伝統的工芸品を取り巻く環境は厳しいものがあります。  県ではこれまで、業界と連携しながら、新商品開発や若年層に向けた県内外での大島紬のPRなどを含め、国内外で販路拡大を図るためさまざまな取り組みを行っております。また、ことし一月には、パリ郊外で開かれたインテリアや雑貨などを中心とした国際見本市への出展を記念して、レセプションを開き、知事も出席してPRに努められたと聞いております。  このような中、平成三十年度当初予算に新規事業として伝統的工芸品等販路拡大支援事業が盛り込まれております。  そこで伺います。  大島紬や薩摩焼など本県の伝統的工芸品等に係る取り組みについて、伝統的工芸品等販路拡大支援事業の具体的な内容も含め、お示しください。  次に、土木関係についてであります。  まず、道路関係について伺います。  本県の高規格幹線道路については、平成二十九年十二月現在で、計画延長二百四十八キロメートルの約七七%となる百九十一・三キロメートルが供用されており、このうち南九州西回り自動車道においては、昨年十一月十二日に高尾野北インターから出水インター間が供用され、これにより、出水阿久根道路約十五キロメートルが全線供用開始されたところであります。残る区間については、薩摩川内水引インターから阿久根インター間及び出水インターから県境までの区間において、全線にわたり事業が進められており、早期整備への期待が高まっております。  東九州自動車道については、志布志から夏井間が平成二十八年度に日南・志布志道路として新規事業化され、現在、調査設計が進められており、また、鹿屋串良から志布志間十九・二キロメートルについては、二〇二〇年度までの開通が発表され、供用開始が待たれるところであります。  地域高規格道路については、都城志布志道路の有明北インターから有明東インター間四・三キロメートルが本年三月四日に、また、北薩横断道路の北薩トンネルを含む、きららインターから中屋敷インター間六・九キロメートルについては三月二十五日に、それぞれ供用が予定されており、広域的な利便性の向上が期待されております。  九州縦貫自動車道や南九州西回り自動車道から鹿児島市へアクセスする鹿児島東西幹線道路については、田上インターから甲南インター間のトンネル着工に向けて、現在、市道の切りかえ工事等が行われており、鹿児島市街地部の都市交通の円滑化と交通混雑の緩和に向け、早期完成が期待されるところであります。  また、鹿児島市と姶良・霧島方面とを結ぶ主要幹線道路であります国道十号の鹿児島北バイパスについては、鹿児島市吉野町花倉付近から仙巌園の背後を約三キロメートルのトンネルで通り、祇園之洲へ至るルートとして整備が進められているところであります。  鹿児島市坂元の都市計画道路催馬楽坂線については、地域の幹線道路であるにもかかわらず、二期区間の一部に字図混乱があることや多額の移転補償費を伴うことなどから事業が休止していますが、昨年三月に字図混乱はほぼ解消され、地元では整備の期待が高まっているところであります。  そこで伺います。  第一点は、高規格幹線道路の整備状況及び今後の取り組みについてお示しください。  第二点は、地域高規格道路の整備状況及び今後の取り組みについてお示しください。  第三点は、国道十号鹿児島北バイパスの整備状況及び今後の取り組みについてお示しください。  第四点は、都市計画道路催馬楽坂線の今後の取り組みについてお示しください。  次に、鹿児島港について伺います。  まず、鹿児島港本港区エリアまちづくりについてであります。  ドルフィンポートや北埠頭を含む鹿児島港本港区エリアの整備について、県は、今年度、同エリアのグランドデザイン策定に向けた調査・検討を行い、先般、複数のイメージを含む調査結果が公表されたところであります。その上で、平成三十年度は、同エリアをどのように活用し、どのような手法、スケジュールで進めるかなどのグランドデザインを策定することとされています。  鹿児島港本港区エリアの活用策については、我が会派としても昨年第二回定例会において、「極めて現実的かつ幅広い検討を要する政策課題である」と申し上げており、鹿児島のにぎわい空間の創出につなげるため、今後、県において、今回の調査結果を踏まえ、同エリアのグランドデザインについてどのように策定を進めていくのか、また、グランドデザイン策定後の具体的な整備に向けてどのように取り組んでいくのか、議会としても重大な関心を持って注視しているところであります。  また、鹿児島港本港区エリアのまちづくりについては鹿児島市との連携も必要であり、路面電車観光路線についての県のかかわり方も含めて、今後、市と調整を行っていくことが重要であると考えます。  そこで伺います。  第一点は、鹿児島港本港区エリアまちづくりにおけるグランドデザインの策定の進め方、スケジュール等、平成三十年度の検討のあり方についてお示しください。  第二点は、今後、グランドデザインを策定するに当たって、鹿児島市との協議をどのように進めていくのか、お示しください。  次に、鹿児島港におけるクルーズ船の受け入れ環境整備についてであります。  国においては、訪日クルーズ五百万人時代に向けたクルーズ船の受け入れ環境の整備を推進するとともに、官民連携により国際クルーズ拠点の形成を図っているところであります。昨年十二月に国土交通省が、官民連携による国際クルーズ拠点形成計画書の第二回目の募集を開始しました。これは、クルーズ船の寄港が急増する中、民間による投資と公共による整備を組み合わせた新たなプロジェクトスキームによる国際クルーズ拠点を形成する取り組みであります。  九州では、八代港、佐世保港が第一回目の官民連携による国際クルーズ拠点を形成する港湾に選定され、二十二万トン級のクルーズ船受け入れのための整備を進めているところであります。  県においては、こうした国の動きを踏まえ、先般、国土交通省に官民連携による国際クルーズ拠点形成計画書を提出するとともに、鹿児島港のマリンポートかごしまにおける新たな岸壁整備の早期事業化に向けた取り組みを進めているところであります。  そこで伺います。  鹿児島港におけるクルーズ船の受け入れ環境整備の今後の取り組みについてお示しください。  次に、臨港道路鴨池中央港区線の整備についてであります。  臨港道路鴨池中央港区線については、今年度、国の直轄事業として新規採択されたところであり、今月二十五日には着工式典が開催される予定であります。当該道路の整備は、港湾物流の円滑化や臨海部の渋滞緩和のみならず、鹿児島市中心部と南薩地域とのアクセス改善による移動時間の短縮により、農業や観光産業等の経済活動の活性化や急患搬送等の救急医療体制の充実に寄与するなど、大きな効果が期待されております。  議会においては、鹿児島港臨海道路整備推進議員連盟を設立しており、着実な整備の促進を求めているところであります。  そこで伺います。  臨港道路鴨池中央港区線の整備について、現在の状況と今後の取り組みをお示しください。  以上、お答えください。    [知事三反園 訓君登壇] 15 ◯知事(三反園 訓君)県民の日についてのお尋ねがございました。  県民の日につきましては、本年五月をめどに制定検討委員会を設置し、平成三十年中の制定に向けて取り組んでまいりたいと考えております。  明治維新百五十周年を契機として、県民の日を制定することは、県民にとりましても、鹿児島の歴史や文化を見詰め直し、郷土に対する親しみや愛着を深めるよい機会となるものと思います。  県民の日制定に当たりましては、県下各地域でそれぞれ個性ある多様な歴史・文化を有しておりますことから、いつを県民の日として制定するのか、またどのような取り組みを行うのかなどにつきまして、県民の皆様、県議会、経済界、行政関係者、有識者等の御意見等も十分伺いながら、議論を進めてまいりたいと考えております。
     都市計画道路催馬楽坂線の今後の取り組みについてであります。  当路線は、全体延長三千百八十メートルのうち、最も渋滞の激しかった坂元郵便局前交差点付近を含む一期区間と二期区間の一部の合わせて千四百三十五メートルの整備を平成二十六年までに行ったところであります。  平成十六年度から事業を開始した二期区間のうち、未整備の七百六十メートルの区間につきましては、これまで、字図混乱が見られたことや多額の移転補償費を伴うなどの課題があり、事業を休止していたところであります。  当区間は、幹線道路であるにもかかわらず、歩道はなく道路幅も狭小で急カーブを有していることから、走行性が悪く安全性を著しく欠いております。朝夕の慢性的な渋滞を緩和し、歩行者の安全性を確保するためにも、特に早急な整備が必要であると認識していた箇所でもあります。  また、都市計画事業の前提となる国の事業認可の期限が平成三十一年度に迫っているところでもあります。こうした中、地元や鹿児島市の協力によりまして、法務局による地図作成が行われ、課題の一つであった字図混乱の問題がほぼ解消されたところであります。  このような状況を踏まえまして、今般、私としては、道路利用者の安全性を十分確保しつつ、道路幅の見直し等により事業費を縮減した上で、平成三十年度から事業を再開することといたします。  今後、都市計画変更などの必要な手続を進めることとしております。あわせて地元へ丁寧な説明を行い、御理解と御協力をいただきながら、早期整備が図られるよう努めてまいります。  鹿児島港本港区エリアまちづくりのグランドデザイン策定についてであります。  同エリアについては、平成二十九年度にグランドデザイン策定に向けた調査・検討を行い、国際的な観光都市にふさわしい、来て見て感動する観光拠点の形成を図ることとしていたところであります。調査・検討では、対話に参加した全十八団体が同エリアのポテンシャルを高く評価しておりまして、国内外の幅広い観光客をターゲットに、集客の確保、エリアの魅力向上等を図るための多様な提案がなされたところであります。また、事業化への参画意向を十二団体が示したことなどから、民間活力の導入を基本に活用方策の検討を進めることとしたところであります。  平成三十年度は、外部の有識者などから成る検討委員会を設置いたしまして、今回の調査結果を踏まえて、グランドデザインを検討することとしております。その過程においては、実現性の高い事業スキームとなるように、さらに具体的な事業計画などの提案を民間事業者から募集したいと考えておりまして、その提案などを参考に同委員会で御意見いただきながら、平成三十年度末までにグランドデザインを策定してまいります。  鹿児島港におけるクルーズ船の受け入れ環境整備についてであります。  本港区北埠頭においては、ソーラスフェンスの整備が完了し、四月十三日には国際クルーズ船が寄港する予定であります。さらに、五万トン級のクルーズ船が寄港できるように安全対策の検討などを鋭意進めておりまして、平成三十年度には受け入れたいと考えております。  マリンポートかごしまにおいては、日本に寄港している最大級のクルーズ船を受け入れるための岸壁の改良などを行っておりまして、三月十五日には、十六万トン級として初めてクアンタム・オブ・ザ・シーズが寄港する予定であります。また、CIQ機能を有するかごしまクルーズターミナルについても、四月七日に供用を開始することとしております。  さらに、世界最大の二十二万トン級のクルーズ船が接岸できる新たな岸壁については、世界第二位の客船グループと連名で、国の官民連携による国際クルーズ拠点に応募し、今月十四日には、県選出国会議員、県議会議長とともに、国に早期事業化を強く要請したところであります。  鹿児島港につきましては、多くのクルーズ船が寄港する港として本県の観光振興に資するよう、受け入れ環境の整備に努めてまいります。 16 ◯PR・観光戦略部長(西 啓一郎君)まず、新鹿児島PR戦略の基本的な考え方や戦略に基づく今後の展開等についてでございます。  新鹿児島PR戦略におきましては、本県の魅力を再発見・再認識するとともに、多彩な魅力の新しい楽しみ方や見方を提案していくことで、県内外の人々に驚きと感動を与え、選ばれる鹿児島県へとつなげていくことを基本的な考え方としております。  なお、今回の戦略におきましては、これまでのPRの検証も踏まえた上で、メディア目線を意識したPRを展開するとともに、ICT技術の最大限の活用や海外を意識したPR等に重きを置くことといたしております。  来年度以降の取り組みにつきましては、新しいPR戦略の浸透を図るとともに、全県的に使用できるような効果的なPRツールの作成を行うこととしております。また、メディア目線を意識した素材の掘り起こしや話題づくりを行うとともに、それらを使ったさまざまな働きかけを行ってまいります。  なお、事業実施に際しましては、随時効果検証も行いながら、さらに有効な取り組みを検討してまいります。  次に、新たなキャッチコピーの活用法についてでございます。  鹿児島県の新たなPRキャッチコピー「どんどん 鹿児島」を使用した新たなPRポスターを既に作成・配布し、県内外の各所で掲示しているところであります。また、同キャッチコピーを使用したはっぴやのぼりのPR資材も作成し、県内外での鹿児島フェアなどで既に活用を始めております。  今後、オール鹿児島でPRしていくため、ホームページなどを通じて広く県民の方々にも新たなキャッチコピーの活用を働きかけながら、新しいPR戦略のもと、「どんどん 鹿児島」を合い言葉に、鹿児島県の魅力をどんどんPRしてまいります。  次に、明治百五十年記念式典と明治維新百五十周年記念事業についてでございます。  明治百五十年記念式典につきましては、近代日本の礎をつくったこの鹿児島から全国的な機運を盛り上げ、鹿児島の魅力を広く発信するとともに、先人たちの業績を後世に伝えるため、五月二十五日に県総合体育センター体育館で開催することとしております。また、翌二十六日にかけては、子供たちを初め、幅広い世代にも参加してもらえるような関連イベントも計画しております。  明治維新百五十周年記念事業につきましては、大河ドラマの放送効果を最大限活用した誘客キャンペーンや、子供たちに明治維新を体感してもらえるような取り組み、明治維新にかかわりの深い都道府県等と連携した取り組みなどを行うこととしております。また、薩摩スチューデントの英国への派遣や作文コンテストの実施など、次世代継承のための取り組みも実施することとしております。  継続的な誘客についての御質問でございます。  県では、明治維新百五十周年や大河ドラマ「西郷どん」の効果を生かすため、これまでに、かごしま明治維新博を初め、県内外でのイベントの実施や各種メディア等を活用したPR、交通事業者と連携したプロモーションなどの情報発信を行いますとともに、ボランティアガイドの育成や維新ドラマの道を初めとする西郷どんゆかりの地の整備を行うなど、受け入れ体制の充実を図っているところであります。  今後とも、ゆかりの地などの歴史素材を積極的にPRしていきますほか、世界遺産や本県が誇る食など、全国へ世界へ誇れる鹿児島の魅力を関係機関・団体と一体となって観光資源として継続的に売り込むなど、大河ドラマ等の効果を一過性に終わらせることなく、国内外から多くの方に本県に来ていただけるよう取り組んでまいります。  キャラクターイラスト等の活用についてでございます。  西郷どんのロゴやキャラクターは、現在までに千件を超える届け出がございまして、記念切手や土産品などの商品パッケージ、旅行商品パンフレットのほか、空港連絡バスや物流トラックのラッピングなどにも使用され、民間における機運もどんどん高まってきているところでございます。  県におきましても、親しみやすいロゴやキャラクターで注目を集め誘客につながるよう、ポスターやパンフレット等に使用しておりますほか、鹿児島空港や鹿児島中央駅にキャラクターを使った装飾を行うなどの活用を図っております。  今後とも、県内外におけるイベントや各種プロモーションにおきまして積極的に活用することで、観光客の増加と民間におけるキャラクター等の利用促進が図られ、大きな経済効果につながるように取り組んでまいります。  伝統的工芸品等の振興に係る取り組みについてでございます。  伝統的工芸品等の振興につきまして、県では、異業種間連携によるワークショップや、ふるさと特産運動推進指導員の活動などを通じ、国内外の市場を見据えた新商品開発支援に取り組みますとともに、国際見本市への出展や国内外における展示販売会の実施などにより、販路開拓支援に取り組んでおります。  伝統的工芸品等販路拡大支援事業につきましては、これまでの事業で蓄積されたノウハウやネットワークを生かしながら、生産者それぞれの自主的な取り組みを支援するものでありまして、国内外の見本市や物産展等への出展料のほか、商品輸送費や商品開発に伴う経費の一部を助成することとしております。  県といたしましては、市場が求める商品の開発や多様化する販売手法へ対応した販路の拡大につながるよう、生産者の皆様と一体となって、伝統的工芸品等の振興が図られるよう努めてまいります。 17 ◯土木部長(渡邊 茂君)高規格幹線道路の整備状況等についてであります。  南九州西回り自動車道の出水阿久根道路につきましては、昨年十一月に出水インターから高尾野北インター間が供用され、これにより、出水市から阿久根市まで全線が供用されたところです。  芦北出水道路につきましては、橋梁工事等が進められており、阿久根川内道路については、阿久根インターから西目間において平成二十九年度から用地買収に着手されたところです。なお、両道路とも、一部箇所において県による用地の先行取得を行っており、用地ストックの確保に努めているところであります。  東九州自動車道の鹿屋串良ジャンクションから志布志間につきましては、引き続き、全線にわたり改良工事等が鋭意進められており、昨年十二月には、平成三十二年度までの開通が示されたところであります。また、志布志から夏井間につきましては、今月二日に志布志市において設計説明会が開催されたところであり、今後、用地調査等が進められる予定です。  高規格幹線道路は、本県の骨格をなす重要な道路であることから、本県の高速交通ネットワークが一日も早く完成するよう、引き続き、県議会を初め、沿線市町村などと一体となって、国に対し強く要請してまいります。  続きまして、地域高規格道路の整備状況等についてです。  地域高規格道路につきましては、国において鹿児島東西幹線道路を、県において都城志布志道路など三路線八区間の整備を進めております。  鹿児島東西幹線道路につきましては、先月、市道中洲通線の車線切りかえが行われたところであり、来月には、トンネルを掘削するための立坑工事に着手される予定です。  北薩横断道路の泊野道路につきましては、紫尾山を貫く北薩トンネルを含む、きららインターから中屋敷インター間を来る三月二十五日に供用することとしております。残るさつま泊野インターからきららインター間につきましても、平成三十年度の供用を見込んでおり、これにより、泊野道路全線を供用することとなります。  また、広瀬道路につきましては、用地取得をほぼ終え、橋梁工事や改良工事を進めており、阿久根高尾野道路につきましては、現在、測量や設計などを進めているところです。  都城志布志道路につきましては、全線にわたり改良工事を進めており、このうち有明道路につきましては、来る三月四日に供用することとしております。また、志布志道路につきましては、国道二百二十号付近の志布志港から都城方面に向かう片側一車線につきまして、平成三十年度に開通させることとしております。  また、大隅縦貫道の吾平道路につきましては、用地買収や埋蔵文化財調査などを進めています。  地域高規格道路は、高規格幹線道路と一体となって広域的な幹線道路ネットワークを形成する重要な道路であることから、早期完成に向け、整備に必要な予算確保に努め、今後とも引き続き、地元市町と連携を図りながら、重点的な整備に努めてまいります。  続きまして、国道十号鹿児島北バイパスの整備状況等についてでございます。  鹿児島北バイパスにつきましては、鹿児島市吉野町花倉付近から仙巌園の背後を約三キロメートルのトンネルで通り、同市小川町へ至る約五・三キロメートルのルートとして計画されております。このうち花倉から祇園之洲間約四・一キロメートルについて、調査設計や関係機関との協議等が進められており、祇園之洲地区においては、昨年十一月に橋梁の下部工事と道路改良工事に着手されたところです。  県といたしましては、鹿児島北バイパスの整備促進が図られるよう、県議会の皆様と一体となって、県開発促進協議会などあらゆる機会を捉え、引き続き国に要請してまいります。  続きまして、鹿児島港本港区エリアのグランドデザイン策定における鹿児島市との協議についてでございます。  同エリアにつきましては、鹿児島市のまちづくりにとっても重要な地区であると認識しており、平成二十九年度の調査・検討において、鹿児島市とは都市計画等の内容について確認しながら、検討を進めてきたところであります。  同エリアの活用方策につきましては、民間事業者から広く意見や提案いただいた対話におきまして、物販・飲食機能などさまざまな提案があったところであり、その中には土地利用規制等の見直しが必要となる場合が想定されるものも含まれております。  また、鹿児島市においては、路面電車観光路線導入の取り組みが引き続き進められていくことになることなどから、同エリアのグランドデザイン策定に当たっては、鹿児島市と必要な協議を行ってまいりたいと考えております。  続きまして、鹿児島港臨港道路鴨池中央港区線の整備についてでございます。  鹿児島港の臨港道路鴨池中央港区線につきましては、平成二十九年度、国の直轄事業として新規採択されたところです。国においては、現在、橋梁の詳細設計などを進めており、今月二十五日に着工式典を予定しております。年度内には中央港区側の地盤改良工事に着手し、平成三十年度は橋梁下部工等の工事に着手する予定です。  県においては、鴨池港区側の取りつけ箇所の検討などを行っているところであり、案がまとまり次第、周辺住民に対し、丁寧な説明に努めることとしております。  当該臨港道路は、港湾物流の円滑化や臨港部の交通渋滞の緩和を図るため早期の整備が必要と考えており、今後とも、国や鹿児島市と連携を図りながら、着実な整備の促進に取り組んでまいります。    [桑鶴 勉君登壇] 18 ◯桑鶴 勉君 御答弁いただきました。  新鹿児島PR戦略及び新たなキャッチコピーについてでありますが、今後のさまざまな本県への追い風を背景に、さらなる戦略的な取り組みに力を注いでいただくよう要望いたします。  明治維新百五十周年や西郷どんを契機とした観光振興については、明治維新の原動力であった本県にふさわしい、歴史に残る明治百五十年記念式典とするとともに、大河ドラマ効果や明治維新博など一連の取り組みを今後の本県観光の躍進につなげることを期待するところであります。  県民の日の制定については、積極的な検討を要望いたします。  伝統的工芸品等の振興についてでありますが、国内外の見本市等への出展助成や新商品開発等に係る専門家の指導などを行う伝統的工芸品等販路拡大支援事業は、まさに時宜を得た内容であり、県の積極的な取り組みを強く要望いたします。  道路関係についてでありますが、高速交通ネットワークの形成については、ミッシングリンクの早期解消に向けた一層の事業推進と地域高規格道路、国道十号鹿児島北バイパス整備のスピードアップについて、引き続き国への働きかけを行うよう強く要望いたします。  また、長年の課題でありました都市計画道路催馬楽坂線について、来年度、工事着工との答弁をいただきました。早期整備に向けた今後の取り組みを要望いたします。  鹿児島港本港区エリアまちづくりについては、先般示された調査報告を踏まえ、今後は、いかに現実的なグランドデザインを策定し、具体的な事業展開につなげていくかという正念場を迎えます。今年度は、有識者等を含めた検討委員会で検討を行うとのことでありますが、最も重要な点は、民間提案・対話の結果を踏まえた民間活力の導入を前提とした具体的な事業スキームや、路面電車観光路線検討など鹿児島市との連携・調整であり、県の現実的かつ主体的な取り組みを強く要望いたします。  クルーズ船対応については、国の積極的な施策展開を踏まえつつ、さらなる受け入れ環境の整備を推進するとともに、一方で、クルーズ客増に伴う交通アクセスや受け入れ体制の拡充、救急時対応などの課題についても積極的な取り組みを要望いたします。  臨港道路鴨池中央港区線の整備は喫緊の課題であり、可能な限りの早期整備に向けた国への働きかけを強く要望いたします。  私たちのこの鹿児島は中央から遠く離れており、大変条件不利な地域にあります。しかも南北六百キロという県土の長さ、離島の多さ、非常にハンデを抱えた県土であります。しかし、私たちはこのハンデをむしろ私たちの強みとして、これから鹿児島県の発展のために情熱を注いでいかなければなりませんし、鹿児島を後押しする風が今、吹いているような気がしてなりません。行政も議会も一体となって、そして民間活力もしっかりと導入しながら、これから先の鹿児島県の発展のチャンスを切り開くために、課題を、チャンスを、知恵を生かしていかなければならないと思っております。  以上、県政の課題について質問してまいりました。  午後は、永井章義議員に引き継ぐこととし、これをもちまして、自由民主党県議団の代表質問・午前の部を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 19 ◯議長(柴立鉄彦君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後一時十五分といたします。        午前十一時五十八分休憩       ─────────────        午後 一時 十五分再開 20 ◯議長(柴立鉄彦君)再開いたします。  永井章義君に発言を許可いたします。    [永井章義君登壇](拍手) 21 ◯永井章義君 それでは、午前中に引き続いて、自民党県議団の代表質問を続けてまいります。  まず初めに、商工労働水産関係について伺います。  新かごしま“食”と“職”の魅力向上・加速化プロジェクトについてであります。  本県の工業製品出荷額の約五割を占める食品関連産業は、本県産業振興の重点業種であります。食品関連産業をさらに振興するためには、付加価値額を高める取り組みに加え、商品の企画・開発などの専門的な分野を担う人材の確保・育成を図り、雇用の質を高めることが必要です。  このため、県では、平成二十六年度から二十八年度まで実施した食品関連産業プロジェクト─食プロ─の取り組みを踏まえ、平成二十九年度から、新かごしま“食”と“職”の魅力向上・加速化プロジェクト─新食プロ─を推進し、商品開発等の高付加価値化への支援などに引き続き取り組むとともに、新たに、企業の魅力等の効果的な発信や、女性や若者など誰もが生き生きと働けるよう職場環境や処遇改善等の取り組みを支援し、正社員雇用や、非正規から正社員への転換の促進に取り組んでいるところです。  なお、昨年十二月に開催された鹿児島県食品関連産業推進協議会において、平成二十八年度までの食プロでは八百十四人の新規雇用があり、今年度から始まった新食プロにおいても、十月末までに正社員八十四人の雇用があり、いずれも目標を上回っていると県から報告がなされたところであります。  そこで伺います。  第一点は、新かごしま“食”と“職”の魅力向上・加速化プロジェクトの平成二十九年度の取り組み状況と成果についてお示しください。  第二点は、同プロジェクトの平成三十年度の取り組みについてお示しください。  次に、水産物の流通対策について伺います。  本県は、黒潮などの恵みを受けて、沿岸・沖合域での漁船操業や静穏海域での養殖業が営まれており、全国でも有数の水産物の生産地となっています。その海面漁業・養殖業産出額は、平成二十七年度は約七百九十六億円で全国四位を誇り、水産業は本県の重要な産業となっております。しかしながら、本県水産業をめぐる情勢は、国内市場における魚価の低迷や原油価格等の経営コストの高騰、また、人口減少や魚離れによる魚介類消費量の減少などから厳しい現状にあるところです。  一方、国によると、国外では、世界的な人口の増加とともに、世界の食市場は二〇〇九年の三百四十兆円から二〇二〇年には六百八十兆円に倍増すると予測されています。本県水産物の輸出額は、養殖ブリを中心に平成二十四年度以降伸び続けていますが、海外における健康志向の高まりや日本食の普及なども考えると、本県水産物への需要はさらに高まると予想できるところであります。  こうした中、昨年十二月、県内の水産関係二社が、水産養殖管理協議会─ASC─の認証をブリ養殖としては世界で二番目に取得しました。ASCは、環境に大きな負担をかけず、地域社会にも配慮した養殖業が行われていることを認証する国際的な制度の一つであり、今年度策定予定の鹿児島県農林水産物輸出促進ビジョン案の中でも、ASC認証の取得の推進は、ビジョン実現に向けた世界に通用する戦略的な取り組みの一つとして挙げられているものであります。  今後も、こうした国際的な認証の取得、県産水産物のブランド化などを通したPR・販促活動や輸出促進など、水産物の流通対策を積極的に推進していくことが重要であると考えます。  そこで伺います。  第一点は、今回のASC認証取得についての県の見解をお示しください。
     また、鹿児島県農林水産物輸出促進ビジョン案に記載されている、ASCを初めとする世界に通用する認証制度の取得に向けた課題と、今後の県の取り組みについてお示しください。  第二点は、国内外それぞれにおける本県水産物の流通対策に県はどのように取り組んでいくのか、お示しください。  次に、企画関係についてであります。  まず、大規模スポーツ施設のあり方検討について伺います。  大規模スポーツ施設のあり方については、昨年から、大規模スポーツ施設の在り方検討委員会において、新たな総合体育館について優先的に検討し、施設の必要性と機能について協議を行い、先般の第四回の検討委員会において提言が取りまとめられ、二月六日に知事へ提言書が提出されたところであります。また、第四回の在り方検討委員会では、ドーム球場についても議論されたところであります。  提言の要点としては、一、新たな総合体育館は、県において早期に整備することが必要。二、本県のスポーツ振興の拠点としての機能に加え、多目的利用による交流拠点としての機能を持つ、いわゆるアリーナ的概念の施設が望ましい。三、ドーム球場については、新たな総合体育館の整備後に、その利用状況等も踏まえて検討することが望ましいとされております。  また、サッカースタジアムについて、在り方検討委員会では、鹿児島市の協議会で一定の結論が出され、その後は市において方針を決めることとされていることなどから、検討は行わないとされたところであります。  県においては、今後、総合体育館の整備に関する基本構想を策定することとしており、早期の整備に向けて、規模や整備場所の選定などスピード感を持って進めていただきたいと考えています。  一方、一月下旬には、鹿児島市サッカー等スタジアム整備検討協議会から鹿児島市長へ提言書が提出されました。提言によれば、スポーツを通じたまちづくり、すなわちスポーツにより、さらなる交流人口の増を図るためには、アマチュアからプロまで裾野が広いサッカーを中心に進めることが有効であること、また、スタジアム整備に向けた基本的な考え方として、都心部に立地することが最も望ましく、年間を通じて稼働率が高く、多様性・効率性を備えることが望ましいなどとされております。  そこで伺います。  第一点は、在り方検討委員会からの提言を受けて、新たな総合体育館の整備に関する基本構想を策定するに当たり、その進め方やスケジュールについて、整備場所の選定方法や時期も含めてお示しください。  あわせて、在り方検討委員会は今後も継続するのか、基本構想策定への関与も含めてお示しください。  第二点は、ドーム球場についての在り方検討委員会での論議内容と、今回の提言を受けての知事の考え方や今後の対応についてお示しください。  第三点は、サッカースタジアムの整備について、鹿児島市サッカー等スタジアム整備検討協議会から鹿児島市長への提言についての県の見解をお示しください。  次に、再生可能エネルギーの新たな導入ビジョンについて伺います。  国は、平成二十七年七月に長期エネルギー需給見通しを策定し、再生可能エネルギーについては、二〇三〇年度の電源構成における比率を二二%から二四%とすることとしております。  その実現に向け、平成二十八年四月にエネルギー革新戦略を策定し、環境アセスメント手続期間の半減などの規制改革、蓄電池の制御技術の高度化などの系統制約解消等に取り組んでいるところであります。  県では、平成二十六年四月に、平成三十二年度を期末とする鹿児島県再生可能エネルギー導入ビジョンを策定し、再生可能エネルギーの導入を図ってきたところでありますが、同ビジョンの目標が平成二十七年度末でほぼ達成したこと、固定価格買取制度の見直しなど再生可能エネルギーを取り巻く情勢が大きく変化したこと、海流発電など新しい発電方式が開発されていることなどから、県では、新たな導入ビジョンを策定することとし、素案についてのパブリックコメントを経て、このほど第三回の推進委員会においてビジョン案を示したところであります。  ビジョン案では、発電や熱利用などの十三項目について、二〇二二年度末までの導入目標を設定し、二〇一六年度比で太陽光発電を二・二〇倍、風力発電を一・四一倍、バイオマス発電を二・五三倍にふやし、再生可能エネルギー供給で全国トップクラスを目指すとされています。  一方、再生可能エネルギーの拡大に向けては、再生可能エネルギー設備の設置に係る住民トラブルも発生しており、また、一般家庭における賦課金負担の増加や、太陽光発電、風力発電の導入偏重や系統接続申込量の接続可能量の超過、太陽光発電関連事業者の倒産件数の増加など、さまざまな課題が出てきております。  知事は、昨年十二月の定例会において、「再生可能エネルギーについては、さまざまな課題があるということは事実であり、そういった課題も含めて、新たなビジョンを策定する中で検討していく」旨の答弁をされています。  そこで伺います。  第一点は、県の新たな導入ビジョンの策定に当たっては、国の再生可能エネルギーの導入推進の考え方と整合性を図るべきものと考えますが、新ビジョンにおける考え方についてお示しください。  第二点は、新ビジョン案について、これまでのビジョンとの相違点と再生可能エネルギーの導入促進に向けた今後の取り組みについてお示しください。  第三点は、再生可能エネルギー設備の設置に係る住民トラブルや、一般家庭における再生可能エネルギー賦課金負担の増加などのさまざまな課題についての県の対応方針についてお示しください。  次に、奄美群島の振興について伺います。  現行の奄美群島振興開発特別措置法は、平成三十年度末に期限切れを迎えます。  奄美群島においては、これまで、同法に基づき各般にわたる事業が実施され、交通基盤、産業基盤、生活環境などの社会資本の整備が着実に進むなど、相応の成果を上げてきております。しかしながら、本土から遠隔の外海離島という地理的条件、台風常襲地帯であるなどの厳しい自然条件下にあり、本土との間には、所得水準や物価を初めとする経済面の諸格差が依然として存在しています。さらに、人口減少や高齢化が進行する中、今後も奄美群島の自立的発展に必要な施策を実施するためにも、同法の延長に向けて取り組む必要があります。  県では、同法の延長に向けて、今年度、奄美群島の現状・課題や奄美群島振興開発事業の成果などを調査・分析する総合調査を実施したところであり、先般、調査報告書の原案が取りまとめられたところであります。  原案によれば、今後の振興開発の基本方針については、引き続き、定住の促進や群島が抱える条件不利性の改善、生活基盤の確保・充実を図るとともに、交流人口の拡大など群島を取り巻く状況の変化に対応するため、新たに、世界自然遺産登録などを生かした交流拡大や滞在型・着地型観光の促進に取り組む必要があるとされています。  一方、国は昨年末、平成三十年度予算案を閣議決定し、奄美群島振興開発事業関係は、公共・非公共を合わせて前年度当初比一・九%減の約二百十二億三千万円が計上され、このうち非公共で各種ソフト対策等に充てる奄美群島振興交付金は、前年度当初と同額の二十四億円が確保されたところであります。  同交付金において、地元市町村等から地域振興につながる事業を企画提案させて取り組みを支援する、リーディングプロジェクト推進枠が新設されることとなっており、奄美群島の魅力を生かした戦略的な事業展開が期待されるところであります。  そこで伺います。  第一点は、奄美群島振興開発特別措置法の延長に向けての今後の取り組みについてお示しください。  第二点は、平成三十年度の奄美群島振興開発事業の取り組み内容についてお示しください。  第三点は、新たな取り組みでありますリーディングプロジェクト推進枠の概要及び市町村と連携した活用についてお示しください。  以上、一回目とします。    [知事三反園 訓君登壇] 22 ◯知事(三反園 訓君)新たな総合体育館の整備に関する基本構想の策定等についてであります。  新たな総合体育館につきましては、今月六日に、大規模スポーツ施設の在り方検討委員会から提言書をいただきました。提言においては、新たな総合体育館の早期の整備が必要であることや、その機能として、本県のスポーツ振興の拠点としての機能に加え、コンサートやイベントなど多目的な利用による交流拠点としての機能があることが望ましいとされました。また、施設の収益性など経済性に配慮した視点やアクセス環境、周辺の街との連携など、今後、整備を検討するに当たっての参考意見も示されたところであります。  この提言は、各界の有識者の方々がそれぞれの立場で熱心に御議論いただき、取りまとめられたものでありまして、大方の県民の方々の理解が得られる内容であると考えております。  私としては、これを受けまして、早期の総合体育館の整備を図るために、来年度、基本構想を策定したいと考えておりまして、当初予算案において総合体育館基本構想策定事業を計上し、整備予定地を初め、施設規模、施設構成、大まかな整備スケジュールなどについては、この構想においてお示しすることとしております。  基本構想の策定に当たりましては、同委員会の提言も十分踏まえ、専門家の助言もいただきながら、必要な調査・検討を行っていきたいと考えております。  大規模スポーツ施設の在り方検討委員会につきましては、総合体育館やドーム球場など、大規模スポーツ施設のあり方について検討・提言を行うことを目的として設置したものでありまして、提言いただいたことにより、同委員会は今年度限りということになると思っております。  ドーム球場に関する提言についてであります。  ドーム球場につきましては、新たな総合体育館の整備後に、その利用状況等も踏まえて検討することが望ましいとの提言をいただいたところでありまして、まずはこの提言を受けまして、早期に整備することが必要とされた総合体育館の整備に向けて全力で取り組んでいきたいと考えております。 23 ◯商工労働水産部長(酒匂 司君)まず、新かごしま“食”と“職”の魅力向上・加速化プロジェクトについてでございます。  本県の工業製品出荷額の約五割を占める食品関連産業は、本県産業振興の重点業種でございまして、今後も一層の振興を図り、安定的な雇用の創出を実現していく必要があると考えております。このため、平成二十九年度からの三カ年計画でスタートいたしました、新かごしま“食”と“職”の魅力向上・加速化プロジェクトにおきましては、県内食品関連企業が行います商品開発や新市場開拓等の高付加価値化の取り組みを支援するとともに、経営力の強化、商品の企画・開発などの専門的な分野を担う人材の確保・育成などを柱に集中的に取り組んでいるところでございます。  具体的には、本年度におきましては、HACCP等の認証取得や魅力ある商品開発等の取り組みへの助成、首都圏開催の商談展示会への合同出展などを行ったところであり、また、企業の経営力アップを目的として、経営者等を対象に、最新の流通情報や製品生産管理等に関するセミナーを開催したところでございます。  さらに、企業が求職者等に対し、自社のブランドイメージ等を効果的に発信するためのセミナーを開催するとともに、就職支援コーディネーターを設置し、求人情報等の収集やハローワーク等と連携した求職者への情報提供を行っているほか、職場環境や処遇の改善等に取り組む企業に対してアドバイザーを派遣し、助言等を行ったところでございます。  このプロジェクトには、昨年十二月末までに二百九十八社が参加し、プロジェクトの実施に伴う正社員雇用は、今年度の目標の八十二人に対し、十二月末時点で目標を上回る百二十一人となるなど、おおむね順調に進捗しているものと考えております。  このようなことから、平成三十年度におきましても今年度の取り組みを継続することとし、特に昨今の人手不足等を背景とした生産性の向上や企業体質の強化など、食品関連企業が抱える課題に応じて、本プロジェクトを有効に活用できるよう、個々の支援メニューの内容やこれまでの活用実績等について、関係機関・団体等との連携を図りながら、個々の企業へのきめ細かい情報提供等により一層努めてまいりたいと考えております。  次に、水産物の国際的認証制度の取得についてでございます。  ASC認証は、適切に管理された持続可能な漁業を認証し、当該漁業によって漁獲された水産物であることを消費者に対しラベルで示す、水産エコラベル認証の一つで、国際的に認知されている制度であり、特に欧米では、認証された水産物を積極的に取り扱う動きが広がってきております。このようなことから、水産物の輸出拡大を目指す民間事業者が、今後の販路拡大の一環としてASC認証取得に取り組まれたものと認識いたしております。  一方、当該認証制度の取得に向けた一般的な課題としては、認証の取得に相当分の時間、労力等がかかること、また、水産エコラベルに関して、国内では、生産者、流通業者、消費者等いずれも認知度が低いことなどが挙げられております。  県といたしましては、国際的認証の取得は輸出拡大に向けた重要な取り組みであると考えており、今年度策定いたします鹿児島県農林水産物輸出促進ビジョンにおきまして、世界に通用するGAP、ASC等の認証制度の取得のための取り組みの推進及び、輸出相手国・地域の衛生基準に応じた加工施設のHACCP認証取得への対応の推進を位置づけることといたしております。  今後とも、認証取得を目指す事業者に対しコンサルティングを行う、国の支援事業などの必要な情報を提供するとともに、関係機関と連携しながら各種セミナー等を開催し、国際的認証制度の認知度や取得意欲の向上などに努めてまいりたいと考えております。  次に、本県水産物の流通対策につきましては、知事のトップセールス等におけるPR活動のほか、国内におきましては、消費人口の減少や魚離れなど水産物の消費が減少していることから、県漁連等が行います販売促進活動や魚食普及活動等の支援を行うことといたしております。また、県内水産加工品品評会を開催し、消費者のニーズに対応した新たな水産加工品の開発を促進するとともに、安心・安全な水産物を提供するための市場等の整備を支援することといたしております。  一方、国外におきましては、今年度策定いたします県農林水産物輸出促進ビジョン等に基づき、海外における展示会・商談会への参加支援及び、輸出に取り組む生産者等の確保・育成を図るための経営セミナーなどを開催することといたしております。  今後とも、県漁連や関係団体等と一体となって、本県水産物の国内販路拡大、輸出拡大に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 24 ◯企画部長(東條広光君)初めに、ドーム球場に関する検討委員会での論議内容についてであります。  ドーム球場については、第三回委員会で、全国の設置状況等について事務局から報告を受け、第四回委員会で、検討の進め方について協議が行われました。  委員会では、総合体育館、ドーム球場ともに多目的に利用できる機能を有するのだから、ドーム球場の検討は総合体育館の整備後、その利用状況等を踏まえたほうがよいのではないか、総合体育館と同様にビッグプロジェクトとなるドーム球場については、総合体育館の整備後に行うほうが適切な検討ができるのではないかなどの意見が出されまして、委員会としての提言が取りまとめられたところであります。  次に、サッカースタジアムの整備についてであります。  鹿児島市のサッカー等スタジアム整備検討協議会におきましては、県も同市からの要請に基づき参加する中で協議が重ねられ、先月末に鹿児島市長に提言書が提出されたところであります。  この提言書では、サッカースタジアムの立地条件や機能、整備・管理運営手法など、整備に関する基本的な考え方が示されますとともに、立地の検討に当たっては、整備の可能性など専門的な見地からの調査を行うことが望ましいとする付言も加えられております。これを受け鹿児島市では、来年度当初予算に、サッカー等スタジアムの整備に向け、立地に係る調査等を行うための経費が計上されたと聞いております。  県としましては、サッカースタジアムの整備につきましては、今後とも、鹿児島ユナイテッドFCのホームタウンであります鹿児島市のお考えをお聞きしながら、対応してまいりたいと考えております。  次に、再生可能エネルギー導入ビジョンにつきまして、まず、国の再生可能エネルギー導入推進の考え方との整合性についてであります。  再生可能エネルギーの導入推進につきまして、国は、エネルギー基本計画を踏まえ、将来のエネルギー需給構造のあるべき姿を示した長期エネルギー需給見通しや、その関連制度の一体的整備を行うためのエネルギー革新戦略において、自然条件によらず安定した運用が可能な地熱、水力、バイオマスを積極的に拡大し、地域活性化にも貢献する地産地消型のエネルギーシステムの構築に取り組んでいくとしております。  県の新たなビジョン案におきましては、このような国の再生可能エネルギーの導入方針との整合性を図りながら、県内の多様な再生可能エネルギーが有効活用され、その供給においてトップクラスとなるエネルギーパークかごしまの実現を目指すこととしております。  次に、現行ビジョンとの相違点と導入促進に向けた取り組みについてであります。  現行のビジョンにおきましては、太陽エネルギーを再生可能エネルギーの核として位置づけ、導入を促進することとしておりますが、新たなビジョン案におきましては、安定した発電が可能な小水力やバイナリー方式による地熱、バイオマスについて積極的に導入を促進し、太陽光以上の伸びを達成することを目標としております。また、新たに、エネルギーの地産地消を促進することとしております。  今後、新たなビジョンに基づき、地熱バイナリーや小水力発電などの導入可能性調査、竹バイオマスエネルギーの技術開発への支援、エネルギーの地産地消に関するセミナーの開催、かごしまグリーンファンドによる事業者への出資、イベントの開催によります、県民や市町村、事業者等への普及啓発などに取り組むことによりまして、再生可能エネルギーの導入を促進してまいりたいと考えております。  次に、再生可能エネルギーの課題への対応についてであります。  再生可能エネルギー設備の設置に係る住民とのトラブルにつきましては、国において、FIT法を改正し、事業者の遵守事項を規定したガイドラインを定め、これに違反した場合は指導や認定取り消し等を行うことができる制度が、昨年四月から運用されているところであります。  県としましては、引き続き、事業者に対しましてガイドラインの遵守を指導しますとともに、開発行為に伴う違反行為等については、個別法や要綱に基づき適切に対応してまいります。  また、太陽光や風力発電の偏重や電力系統の接続可能量の超過に対しましては、蓄電池や水素製造など余剰電力の活用を検討しますとともに、エネルギーを地域で効率的に活用しますスマートコミュニティーの導入等を促進することとしております。  再生可能エネルギーの賦課金につきましては、国において、国民の負担が過重なものとならないよう入札制度を導入し、買取価格を低減することとしておりますが、県では、さらなる負担の軽減が図られますよう、開発促進協議会等を通じて国に要望しているところであります。  次は、奄美群島の振興に関しまして、まず、奄美群島振興開発特別措置法の延長に向けた今後の取り組みについてであります。  法延長に向けて現在取りまとめを行っております総合調査報告書につきましては、今議会におきまして御議論いただいた上で、来月末までに決定し、四月に開催が予定されております、国の奄美群島振興開発審議会に提出したいと考えております。  審議会におきましては、総合調査報告書などを踏まえつつ、奄美群島の振興開発に関して今後とるべき措置について、七月ごろに国に対し意見具申が行われる見込みであり、その内容を踏まえ、政府において法改正等の作業に着手されるものと考えております。  県としましては、今後とも、県議会や県選出の国会議員の皆様、地元市町村と連携し、総合調査報告書の内容が法改正等に十分反映されるよう、国に働きかけてまいります。  次に、平成三十年度の奄美群島振興開発事業の取り組み内容についてであります。  公共事業につきましては、主要地方道名瀬瀬戸内線の宮古崎トンネルの整備や、名瀬港の国直轄事業による岸壁改良、奄美空港の電源施設の更新等を行うこととしております。  非公共事業につきましては、奄美群島振興交付金を活用し、引き続き、農林水産物の輸送コスト支援や航路・航空路運賃の軽減を図りますとともに、世界自然遺産奄美トレイルの設定や奄美自然観察の森の再整備、奄美パークの展示物改修等を実施することとしております。  また、奄美、沖縄と世界自然遺産登録地であります屋久島間の周遊性を向上させるため、世界遺産奄美・沖縄─屋久島を結ぶ航路支援事業を実施しますほか、民泊など、奄美らしい観光スタイルを構築するための新たな取り組み等を行うこととしているところであります。  次に、奄美群島振興交付金のリーディングプロジェクト推進枠についてであります。  奄美群島の産業振興等を図るためには、社会情勢に柔軟性とスピード感を持って対応することが重要であり、市町村等がみずからの創意工夫と民間等との連携により、地域特性を踏まえた政策ニーズを具体的に事業化することが必要であると考えております。このため、奄美群島振興交付金を活用した新たな事業メニューを設けて戦略的な事業展開を図ることを目的とした予算枠、これをリーディングプロジェクト推進枠と呼んでおりますが、予算枠を創設することとしているところであります。  この推進枠は、来年度、国費ベースで一億八千万円程度を想定しておりまして、例えば、奄美らしい観光スタイルの構築などのテーマを設定した上で、市町村がそのテーマに沿った事業計画を作成し、事業を実施することとしております。  県としましては、事業計画が奄美群島の自立的発展に向けて効果的なものとなるよう助言を行うなど、市町村の支援に努めてまいりたいと考えております。    [永井章義君登壇] 25 ◯永井章義君 それぞれ御答弁いただきました。  新かごしま“食”と“職”の魅力向上・加速化プロジェクトについてでありますが、平成二十六年度からの食品関連産業プロジェクトを踏まえ、さらにバージョンアップさせた取り組みとして相応の成果を上げており、高く評価するところであります。引き続き、重点業種として、さらなる成長産業化に向けた取り組みを要望いたします。  水産物の流通対策についてでありますが、本県水産物の輸出額は、北米向けの養殖ブリを中心に好調な伸びを続けており、水産物の世界的な需要拡大が進む中で今回のASC取得は画期的であり、今後とも、ASCを初めとする世界に通用する認証制度の取得を促進するとともに、県漁連や関係団体等と一体となった本県水産物の国内外における販路拡大に取り組まれるよう要望いたします。  大規模スポーツ施設のあり方検討についてでありますが、今回の検討委員会の提言内容は、私どものこれまでの主張に沿うものであって、いわば想定どおりの内容でありましたが、今後は、まず、整備場所を決定するとともに、規模・導入機能、整備スケジュールなど具体的な検討項目について、県が主体的かつ現実的な検討を進め、できるだけ早急に基本構想を策定するよう要望いたします。  再生可能エネルギーの新たな導入ビジョンについてでありますが、本県の地域特性を生かした導入を促進する一方で、最も重要なことは、導入の効果を県内経済へ波及し雇用創出、地域活性化につなげていくことであり、そのための具体的な方策に力点を置いた取り組みを要望いたします。  また、一方で、急速な導入に伴う災害や景観・環境破壊に関する住民とのトラブルや、再生可能エネルギー発電促進賦課金の上昇による住民負担の増大などの課題をも踏まえた取り組みを要望いたします。  奄美群島振興開発特別措置法の延長に向けて最大限の取り組みを行うとともに、奄美群島振興交付金の新たなリーディングプロジェクト推進枠の活用による市町村の戦略的な取り組みについて、県としても必要な支援に努めていただきますよう要望いたします。  質問に移ります。  次に、教育関係について伺います。
     高大接続改革についてであります。  平成二十八年三月、文部科学省の高大接続システム改革会議において、最終報告が発表されました。この報告では、教育の現状について、高校までの学習で、学力の三要素である、十分な知識・技能、それらを基盤にして答えが一つに定まらない問題にみずから解を見出していく思考力・判断力・表現力等の能力、これらのもとになる主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度が十分に身についていないことや、大学入試が知識偏重になってしまっていることのほか、大学での学習においても従来型の知識を伝える講義が多く、社会で求められている能力を育成できていないということが問題点として挙げられております。  グローバル化の進展、技術革新、国内における生産年齢人口の急減などに伴う予見困難なこれからの社会を生き抜くためには、知識の量だけではなく、みずから問題を発見し、答えや新しい価値を生み出す力が重要になるとの考えから、国は、高等学校教育、大学教育及び大学入学者選抜を通じて、学力の三要素を確実に育成・評価する一体的な改革を進めているところであります。  高等学校教育改革では、いわゆるアクティブ・ラーニングの視点からの学習・指導方法の改善により、学力の三要素の養成に力を入れることになります。そして、高校生に求められる基礎学力の確実な習得と学習意欲の喚起を図るため、二〇一八年度中に、高校生のための学びの基礎診断制度の運用が始まる予定であります。  また、高等学校と大学をつなぐ大学入学者選抜改革では、二〇二〇年度から、現行の大学入試センター試験にかわる大学入学共通テストが始まります。国語と数学では、マークシート方式問題に加え、記述式の問題が導入され、英語は、読む・聞く・話す・書くの四技能を評価するため、大学入試センターが認めた民間等が実施する資格・検定試験が活用されることになっております。  特に、大学入学者選抜改革は新聞等でも大きく報道されており、保護者や生徒にとっても一番の関心事であります。記述式問題で求められる思考力・判断力・表現力の能力や四技能の英語力はそう簡単に身につくものではありません。初めての大学入学共通テストを受験する二〇一八年度の高校一年生から、授業改善を加速させていく必要があると思われます。  そこで伺います。  第一点は、このような改革が国から示されたことを踏まえ、県教委としてこれまでどのような取り組みがなされ、また、今後どのように準備を進めていかれるのか、お示しください。  第二点は、改革に向けた教員の指導力向上対策についてお示しください。  次に、教員の働き方改革について伺います。  昨年四月に公表された文部科学省の平成二十八年度教員勤務実態調査速報値によると、国が示す過労死ラインに達する週二十時間以上の時間外勤務をした教員が、小学校で三三・五%、中学校で五七・七%にも上り、また、中学校の土日の部活動指導時間が一日当たり二時間十分と前回調査の約二倍となるなど、教員の深刻な長時間勤務が明らかとなっております。  中央教育審議会は、昨年六月に文部科学大臣から、新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について諮問され、特別部会を設けて議論を行ってきましたが、教職員の長時間勤務の実態が看過できない状況であるとして、八月に、学校における働き方改革を早急に進めるよう緊急提言を行いました。  提言では、ICTやタイムカードによる勤務時間の把握、学校における留守番電話の設置、部活動の休養日設定等を例示するなど、改善に向けて、今できることは直ちに行うことが示されております。  また、十二月に示された中間まとめでは、膨大になってしまった学校及び教員の業務の範囲を明確にし、限られた時間の中で、児童生徒に真に必要な総合的指導を持続的に行うことができる状況をつくり出すため、業務を、基本的には自治体や地域住民など学校以外が担うべき業務、学校の業務であるが必ずしも教員が担う必要のない業務、教員の業務であるが負担軽減が可能な業務に整理し、教員が本来の業務に集中できる環境の整備を目指すとされております。  本県においては、国のモデル事業として、霧島市の小・中学校で、教員の業務負担の軽減を目的とした実践研究が本年度から実施されているほか、県の業務改善方針が本年度中に策定される予定であります。  そこで伺います。  第一点は、現在策定している業務改善方針の内容についてお示しください。  第二点は、この方針を踏まえ、教職員の業務負担軽減について今後どのように取り組まれるのか、お考えをお示しください。  次に、警察関係について伺います。  県警察の機能強化基本計画についてであります。  県内の刑法犯認知件数は、県警や防犯ボランティア等によるさまざまな活動により、八年連続で戦後最少を更新しているところですが、うそ電話詐欺やサイバー犯罪については、次々と巧妙で新たな手口が出現するなどして、認知件数や相談件数が増加傾向で推移しているところであります。  県警では、将来にわたって質の高い安全を県民に提供し、安心して暮らせる地域社会を実現するため、平成二十四年二月に、終期を平成三十一年三月とした、鹿児島県警察における地域警察の体制強化に向けた再編整備実施計画を策定し、交番・駐在所の統廃合や交番の新設、管轄区域や人員等の配置見直しを行っておられるところですが、県警が毎年実施している、治安等に関するアンケート結果によると、犯罪被害への不安を感じている県民の声が継続して聞かれるなど、県民が肌で感じる体感治安は依然として厳しい状況にあります。  また、近年、知識や経験豊富なベテラン警察官の大量退職に伴い、新規採用者数が増加していますが、若年人口は減少していることから、警察官の採用をめぐる状況は厳しさを増すほか、若手警察官が増加する中で質の高い警察力を維持するためには、経験が浅い若手警察官の早期育成が必要であると思われます。  さらに、県警では、次世代育成推進法及び女性活躍推進法に基づく鹿児島県警察特定事業主行動計画を策定し、女性職員の活躍とワーク・ライフ・バランス等を推進しておられるところですが、昨年十一月末現在、警察官定員に占める女性警察官の割合は七・六%、二百三十二人であり、また、これまで採用された女性警察官の約三割が、出産や子育て等を理由に中途退職している現状となっております。  このような警察を取り巻く治安情勢や社会情勢の変化等を踏まえ、治安対策上の問題点を解決し、将来にわたりこれら情勢の変化に的確に対応できる体制を構築するため、県警では、警察本部長の諮問機関として、平成二十七年四月、部外有識者で構成される、鹿児島県警察の機能強化を考える懇話会を設置し、懇話会で審議された結果等を踏まえ、県警における若手警察官の育成や女性の視点を反映した警察運営の推進の必要性など、平成二十八年九月にその答申が取りまとめられたところであります。  県警では、この答申を受けて、このたび、鹿児島県警察の機能強化基本計画案が公表されたところであります。  そこで伺います。  第一点は、鹿児島県警察の機能強化基本計画の概要についてお示しください。  第二点は、今後取り組もうとしている施策についてお示しください。  第三点は、今後の警察機能強化に関するスケジュールについてお示しください。  次に、少年非行防止・保護総合対策について伺います。  本県において、昨年末現在、窃盗や傷害などで検挙された刑法犯少年は二百二十九人、喫煙や深夜徘回等の不良行為で補導された少年は千七百四十九人となっており、前年に比べ、刑法犯少年は九十六人、不良行為少年は千二百六十五人減少しているものの、再犯者率は二七・九%と高どまり状態で推移しております。全刑法犯に占める刑法犯少年の割合は一一・八%で、昨年は凶悪犯罪も発生しており、依然として予断を許さない状況であります。  最近でも、十五歳の中学生が殺人未遂で逮捕されるという驚くべき事案が発生し、県民に大きな衝撃を与えたところです。  また、児童虐待事案の発生が後を絶たず、昨年末現在、県警における認知件数が二百六十六件で、前年より百二十五件増加、県警から児童相談所への通告人数も四百六十七人で、前年より二百八十三人増加しており、極めて深刻な状況となっております。  しつけと称して児童虐待を否定し、警察や行政の介入を拒む例もありますが、最悪の事態を招くおそれもあることから、関係機関と連携し、子供の命を優先した的確な対応を徹底する必要があります。  さらに、スマートフォン等の普及に伴い、コミュニティーサイト等を利用した十八歳未満の子供が性的被害に遭う事案や、自分の裸を撮影させ画像を送信させる自画撮りの被害などが後を絶たない状況であることから、被害少年を早期に発見・保護するとともに、新たな被害を発生させないための取り組みも重要であります。  そこで伺います。  第一点は、少年非行防止及び再犯防止に対する取り組みについてお示しください。  第二点は、児童虐待が疑われる情報を認知した場合の警察における対応及び児童相談所と連携した保護活動の取り組みについてお示しください。  第三点は、インターネットの利用に起因する少年の福祉を害する犯罪の被害防止対策及び、児童生徒に対するインターネットの安全利用に向けた取り組みについてお示しください。  次に、環境林務関係について伺います。  森林資源の循環利用の促進等について伺います。  本県の森林は県土の約六割を占め、本県森林面積の五割を占めるスギ・ヒノキ等の人工林は、その多くが本格的な利用期を迎えております。  森林は、水源の涵養等の公益的機能のほか、木材等の生産機能により経済活動の活性化にも寄与しておりますが、林業の採算性の悪化や森林所有者の不在及び高齢化等により、間伐などの手入れの行き届いていない人工林や、皆伐されたまま植林されずに放置された森林が増加しつつあり、公益的機能を初めとする森林の有する多面的機能の低下が懸念されております。  このような状況を受け、県議会では、植える、育てる、使う、植えるという森林資源の循環利用を促進することが特に重要であると考え、さきの定例会において、議員提案により、森林資源の循環利用の促進に関するかごしま県民条例、通称かごしまみんなの森条例を制定したところであります。  県、市町村、森林所有者、林業事業者、県民等が連携して森林資源の循環利用の促進を図ることにより、健全で持続的な森林が維持され、森林の有する公益的機能が発揮されるとともに、森林資源が将来にわたり活用され、地域が発展することを目指しております。  また、現在、県において改定作業が進められている鹿児島県地球温暖化対策実行計画においても、温室効果ガスを吸収する森林は重要な位置づけにあり、県内における平成二十七年度の温室効果ガス総排出量の約一四・六%を森林が吸収していると試算されております。  さらに、平成三十年度税制改正大綱では、パリ協定の枠組みのもとにおける温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止等を図るため、森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から、平成三十一年度税制改正において、仮称、森林環境税と森林環境譲与税を創設するとされたところであります。  また、内閣府の規制改革推進会議は、短期集中で早期に結果を出すべき重要事項の一つとして、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理の実現のための改革を取り上げ、市町村が仲介者となって森林の集積・集約化を進める仕組みの創設など新たな森林管理システムに関する事項や、木材の生産流通構造改革など林業の成長産業化を進めるための事項等について答申を行うなど、森林をめぐる動きは加速しており、その位置づけは重要性を増しております。  そこで伺います。  第一点は、森林資源の循環利用の促進に関する今後の県の主な取り組みについてお示しください。  第二点は、現行の県地球温暖化対策実行計画における森林吸収源対策の成果と、それを踏まえた次期計画における取り組みについてお示しください。  次に、奄美群島沿岸を中心とする油状漂着物への対応について伺います。  今月初めごろから、奄美大島周辺の沿岸に油状のものが漂着していることが確認されています。政府は、首相官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置し、情報収集を進めているとのことであります。  一月初旬に、中国上海東方沖でタンカーと貨物船が衝突・炎上後、日本側へ漂流し、奄美大島西方約三百キロメートルの海上で沈没し、油の流出が確認されております。現在までのところ、漂着物がタンカーから流出した油によるものかどうかについては確認されていないものの、漁業被害や環境への影響を懸念する声があります。  県では、回収方法を検討し、先般、回収作業マニュアルを作成の上、市町村と連携して回収作業に当たっておりますが、漂着範囲が広いことから作業には一定の時間を要することが予想されます。  そこで伺います。  第一点は、漂着の現状と住民に対する回収作業マニュアル等の周知についてお示しください。  第二点は、今後の回収作業の予定と漁業被害や環境への影響についてお示しください。  第三点は、漂着の原因究明はどのような状況であるのか、また、回収作業等に要した費用の負担はどのようになるのか、お示しください。  以上、二回目といたします。    [知事三反園 訓君登壇] 26 ◯知事(三反園 訓君)奄美群島沿岸を中心とする油状の漂着物の今後の回収作業の予定と、漁業被害や環境への影響についてでございます。  奄美群島沿岸を中心に油状の物質が漂着していることから、私も、海岸への漂着、回収の状況の確認等を目的に今月十五日に奄美大島に赴き、職員とともに回収作業を行ったところであります。  現在、県、市町村の職員を中心に、国の職員や住民の方々の御協力もいただきながら、回収作業等に取り組んでいるところでありまして、回収量は、今月十八日時点でおよそ九十トンとなっております。  これまでの回収作業につきましてはおおむね順調に行われておりまして、全体といたしましては漂着物が減少しているところでもありますが、引き続き全力で回収作業に取り組むこととしております。  また、漁業被害につきましては、これまで確認されておりませんが、現在、国におきまして、水産資源への影響調査、野生生物、生態系等への影響把握調査を実施しているところでありまして、県といたしましては、引き続き、国とも連携しながら情報収集に努めることとし、必要な情報については随時公表することとしております。  今後とも、漁業や観光への風評被害が生じないよう回収作業に万全を期してまいります。 27 ◯教育長(古川仲二君)初めに、高大接続改革を踏まえた県教委の取り組みについてでございます。  国の高大接続改革は、社会構造が急速にかつ大きく変革する中にあって、多様な人々と協力しながら主体性を持って人生を切り開いていく力が重要であり、こうした資質・能力を育むことができるよう、高等学校教育、大学入学者選抜、大学教育の三位一体の改革を目指すものでございます。  この改革では、十分な知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度という、いわゆる学力の三要素を特に重視して育成することとされております。  このようなことから、県教委では、いわゆるアクティブ・ラーニングの視点からの授業改善を推進し、学力の三要素の育成に努めており、みずから課題を発見し解決を図る学びの充実に向けて、スーパーサイエンスハイスクールやスーパーグローバルハイスクールの取り組み等を支援しているところでございます。  また、大学入試における新たな記述式問題の導入等に対応するため、授業改善を通した思考力・判断力・表現力等の育成に努めるとともに、英語の四技能育成のため、英語教育改善拠点校において、授業改善や外部検定試験等に対応できる英語力の育成に向けて取り組んでおり、その成果を他校へ波及させることにいたしております。  今後、これまでの取り組みを充実させるとともに、平成三十年度から運用される、高校生のための学びの基礎診断の活用等による基礎学力の定着や、義務教育段階も含めた対策について、組織的な対応を図ってまいりたいと考えております。  次に、高大接続改革に向けた教員の指導力向上対策についてであります。  国の高大接続改革に向けた教員の指導力向上に当たっては、まずは教員自身が改革の基本的方向性やスケジュールなどについて十分理解することが重要でございます。このため、教育実践研究会や高大接続改革セミナーにおいて、国の改革の動向や指導のあり方等について、情報提供や研究協議等を通して理解を深めているところでございます。  その上で、主体的・対話的で深い学びの実現に向けて、アクティブ・ラーニング研究開発支援プログラムを実施しており、研究指定校や研究員による調査研究・実践研究を推進し、公開授業や研究協議等により、その成果を県下に波及させることにいたしております。  県教委といたしましては、これらの取り組みを通して、高大接続改革に向けた教員の指導力向上に努めてまいります。  次に、学校における業務改善方針の内容についてであります。  県教委においては、中央教育審議会における中間まとめや文部科学省の緊急対策等を踏まえ、保護者や地域住民等も含めた全ての教育関係者がそれぞれの課題意識を持って、学校の業務改善の推進に取り組むための基本的な方向性を示すものとして、今般、学校における業務改善方針案を取りまとめたところであります。  この業務改善方針においては、教員が担うべき業務の適正化などを通した業務の簡素化、管理職のマネジメント力の向上などによる業務の効率化、勤務時間管理の徹底を含めた業務改善の意識化といった三つの方向性を掲げ、学校の業務改善を推進することとしております。  本方針案については、現在、パブリックコメントを実施しておりまして、今後、県民の皆様の御意見や県議会における御議論等を踏まえた上で、本年度中に策定してまいりたいと考えております。  次に、今後の教職員の業務負担軽減の取り組みについてでございます。  県教委におきましては、今回策定する業務改善方針を踏まえ、来年度から、教職員の業務負担の軽減に係る対策として、先行的に実行可能な取り組みを速やかに実施することにいたしております。取り組みの内容といたしましては、県内全ての学校において、長期休業期間中に学校行事等を実施しないリフレッシュウイークを設定するとともに、原則週二日の部活動休養日を設定することといたしており、県立学校では、リフレッシュウイーク中に学校閉庁日を設定いたしますほか、実習助手による単独での部活動指導や大会等への引率を可能とすることといたしております。  さらに、学校を対象とした各種調査、報告物等の精選や管理職マネジメント研修の充実を図りますほか、学校における業務改善についての理解促進のため、保護者等に本県の業務改善に係る取り組み等をまとめたリーフレットを配布することにいたしております。  また、来年度の早い時期に、教員の長時間勤務要因分析調査を実施し、その結果や引き続き実施するモデル地域での調査研究の成果等も踏まえ、中長期的な具体的取り組みや数値目標等を設定することにいたしております。  県教委といたしましては、国の働き方改革に向けた取り組み等も踏まえつつ、市町村教育委員会と連携しながら、本県の実情に即した学校における働き方改革を着実に推進してまいりたいと考えております。  次に、児童生徒のインターネットの安全利用についてであります。  児童生徒のインターネット接続機器の所持率やSNS等の利用が増加していることを踏まえ、各学校では、映像資料などを活用して、発達段階に応じた情報モラル教育の充実に取り組んでいるところでございます。  また、県教委においても、大学生を学校に派遣し、ネットトラブルの理解や正しい利用方法について考える授業を行いますとともに、学校ネットパトロール事業により、インターネット上の問題のある書き込みを監視し、学校と連携した指導を行っているところであります。  さらに、保護者に対して、フィルタリングや家庭内ルールの設定、インターネット等の安全な利用などについてのリーフレットを初め、ネットトラブルの未然防止の映像資料などを通して、啓発にも取り組んでいるところでございます。  今後とも、児童生徒が安全にインターネットを利用できる環境づくりに引き続き努めてまいりたいと考えております。 28 ◯警察本部長(河野 真君)鹿児島県警察の機能強化基本計画についてであります。  同計画の概要については、県警察が、時代の変化や県民の多様なニーズに的確に対応し、限られた警察力で警察の機能を最大限に発揮し、将来にわたり、より高い治安水準を保持できる体制を構築すべく、その基本となる施策を取りまとめたものであります。具体的には、若手警察官の早期育成、女性の視点を一層反映した警察運営の推進、専門的捜査員の育成強化、交番・駐在所の再編整備の推進、小規模警察署への支援の強化と時代の要請に応じた警察力の整備の五つの施策を基本としております。  県警察としては、これら基本的施策を推し進めることで機能強化を図りつつ、日本一安全で安心な鹿児島の実現を目指す所存であります。  今後、取り組もうとしている施策としては、若手警察官の早期育成については、現場執行力の強化を目的とした新たな教養体系の構築や大量退職時代に伴う優秀な人材確保、女性の視点を一層反映した警察運営の推進については、子育て等の事情を抱える職員が安心して仕事を続けられる職場環境づくりや全職員のワーク・ライフ・バランスの実現、専門的捜査員の育成強化については、重要犯罪や新たな形態の犯罪に的確に対処するための警察職員の対処能力の底上げ、交番・駐在所の再編整備の推進については、現地域再編計画の継続推進、小規模警察署への支援の強化と時代の要請に応じた警察力の整備については、小規模警察署の管轄区域における警察力の強化などの施策を推進してまいりたいと考えております。  今後の警察機能強化に関するスケジュールについては、現時点では案であります基本計画を、今議会での御議論やパブリックコメントの結果を踏まえた上で決定し、その後、なるべく早い時期に、さらに具体的な施策を示す鹿児島県警察の機能強化実施計画を策定することとしております。  次に、少年非行防止等に対する取り組みについてであります。  少年の非行防止に対する取り組みとしては、少年犯罪に対する厳正かつ適正な捜査を推進するとともに、学校や少年ボランティア等の関係機関・団体と連携しながら、規範意識の向上を目的とした非行防止、薬物乱用防止教室の開催、不良行為少年や行方不明少年を早期に発見し、指導・保護するための街頭補導活動、少年に関する相談の受理とそれに基づく指導・助言、スクールサポーターによる活動などを積極的に推進しているところであります。  再犯防止に対する取り組みとしては、過去に非行少年として取り扱いがあり、周囲の環境や自身に問題を抱え、再び非行に走りかねない少年を対象として、保護者の同意が得られた場合は、少年に対する継続的な指導・助言のほか、少年を取り巻くきずなを強化するための社会奉仕体験活動等への参加を促すなどの立ち直り支援活動を推進しております。
     児童虐待事案の対応と保護活動の取り組みについてであります。  県警察では、児童虐待が疑われる事案の情報を一一〇番通報や警察安全相談等により認知した場合は、現場へ臨場し、児童の安全確認を直接行った上で、児童相談所への通告を行うとともに、事態が深刻化する前の迅速・的確な事件化の判断や、緊急時・夜間等において被害児童を保護するなど、児童の安全確認及び安全確保を最優先とした対応に努めております。  児童相談所等の関係機関とは平素から連携に努めており、会議や研修会を通じた意見交換や個別事案における早期の情報共有、要保護児童対策地域協議会への積極的な参画、児童相談所への警察官OBの配置などを行っております。  また、児童相談所から警察署長への援助要請がなされた場合は、児童相談所の職員等による児童の安全確認、一時保護、立入調査等の際に現場に同行し、必要に応じて警察官職務執行法の権限を行使するなどの支援措置を講じております。  今後とも、関係機関との連携をより一層強化し、児童虐待の早期発見と児童の安全確保に万全を尽くしてまいりたいと考えております。  次に、インターネットによる少年の被害防止対策についてであります。  県警察では、サイバー補導を通じて、インターネット上に不適切な書き込みを行った児童を早期に発見し、指導しているほか、サイバーパトロールによる違法情報の取り締まりを実施しております。  また、学校、教育委員会等と連携し、各種会合等を通じた保護者に対する啓発活動の推進、非行防止教室やサイバーセキュリティ・カレッジの開催等を通じた小・中・高校生に対する情報モラル教育の推進、スマートフォン等のインターネット接続機器へのフィルタリングの利用促進に努めているほか、県警察では、FMラジオ放送やSNSを活用して、少年のモラル向上と被害防止を目的とした広報啓発活動に取り組んでおります。 29 ◯環境林務部長(古薗宏明君)森林資源の循環利用の促進についてであります。  本県のスギ・ヒノキの人工林が本格的な利用期を迎えている中、大型木材加工施設の操業開始などによりまして、昨年度の木材生産量は二十五年ぶりに百万立方メートルを超えたところであります。また、昨年十二月には、森林資源の循環利用の促進に関するかごしま県民条例が議員提案により全会一致で可決・成立いたしました。  県といたしましては、このような情勢や条例制定を契機として、森林資源の循環利用の促進による林業・木材産業の成長産業化を実現していくことが重要であると考えております。このため、担い手の育成や森林施業の集約化を図りながら、間伐や再造林など森林の循環施業を推進するとともに、CLT等の普及や木材加工流通施設の整備など、県産材の利用促進と供給体制の強化に取り組むことといたしております。  特に、条例により、森林所有者の努力義務とされた再造林につきましては、新たに、低密度植栽によるコスト削減や下刈り等のかかり増し経費に対する支援を行い、さらなる推進を図ることといたしております。  今後とも、関係者との連携を図りながら、森林資源の循環利用の促進に努めてまいります。  県地球温暖化対策実行計画における森林吸収源対策についてであります。  現行の計画に基づく森林吸収源対策につきましては、これまで、スギ・ヒノキ林で約三万ヘクタールの間伐を実施するとともに、県民や企業、NPO法人など多様な主体による森林づくりなどに取り組んできたところであります。現行計画では、平成三十二年度の森林による二酸化炭素の吸収量を約百四十一万一千トンと見込んでおりますが、平成二十七年度におきましては、これまでの取り組みにより、約百四十八万トンとなっております。  本県の森林も、高齢級化の進行により吸収量が減少していることなども踏まえまして、次期計画におきましては、計画的な間伐等による森林整備や森林環境教育の推進、森林整備などによる吸収量認証など、森林吸収源対策に積極的に取り組むことといたしております。  奄美群島沿岸を中心とする油状漂着物の現状等についてであります。  去る一月二十八日に宝島、二月一日に奄美市の朝仁海岸に油状の物質が漂着していることが確認され、その後、奄美地域全島と屋久島、十島村全島においても確認されました。  県におきましては、衣類等への付着を防止するとともに、円滑に回収作業を行うことができるよう、回収時の服装、回収方法、回収物の一時保管方法などを記載した回収作業マニュアルを今月七日に作成し、県ホームページに掲載するなど、市町村と連携して周知に努めております。また、体調への十分な配慮、防寒対策など、回収作業等を行う際の留意点もあわせて周知しております。  漂着の原因究明と回収作業に係る費用負担についてであります。  二月六日の第十管区海上保安本部の発表によりますと、タンカー沈没位置付近の海面の油と沿岸に漂着した油状の物質についてサンプル調査を行ったところ、宝島、奄美大島及び喜界島への漂着物については類似するものであるとの分析結果は出ていないが、直ちにタンカーの沈没と関係がないとは断定できないとされており、また、昨日の発表によりますと、沖永良部島及び与論島への漂着物については類似していることが判明したとされております。海上保安庁は引き続き情報収集・調査等を行うこととしております。  回収作業等に要した費用につきましては、国の補助金を財源として活用することとしておりまして、今月十四日に県庁を訪問された渡嘉敷環境副大臣に対し、補助金の本県への配分について知事から強く要望したところであります。 30 ◯永井章義君 環境林務部長に自席から質問します。  この油状の漂着物の対応について、知事からも御答弁いただきましたけれども、先般、知事にも朝仁海岸の現場を視察いただいて、また回収作業にも参加していただいて、早期の対応をいただいたことに感謝申し上げたいと思います。  今、御説明いただきましたけれども、万全の回収作業を進めていくことが当面求められている中で、海浜だけじゃなくて、サンゴ礁であったり岩場であったり、回収の難しい場所があると思うんですよね。その辺についても国と協議されて進め方を検討されていると聞いているんですが、県の取り組みを教えていただけませんか。 31 ◯環境林務部長(古薗宏明君)漂着物については地方自治体の業務として実施することとしておりますけれども、海中を漂流しているものについては、海上保安庁なり海面を所管する省庁において対応されるべきものだと考えております。今、海上保安庁におきまして、海上を漂流している状況でありますとか、あるいは漁業に影響が出ないような環境調査、海水の調査、あるいは環境省におきましては、サンゴ礁についての目視調査もやっておりますし、今後また海中での調査もやることになっておりますけれども、これは国、県、市町村もあわせて連携して対応することが重要だと考えておりますので、必要に応じて国なり市町村と連携しながら対応していくこととしております。    [永井章義君登壇] 32 ◯永井章義君 それぞれ御答弁いただきました。  教育関係の高大接続改革についてでありますが、昨今盛んに論議されている一方で、具体的内容が分かりづらいというのが実感であります。まずは、教職員に対する主体的・対話的で深い学びの趣旨・内容の周知徹底や啓発を図るとともに、新たな大学入学共通テストに対応するための授業内容の改善など、実践的な指導力向上に向けた取り組みに努めていただくよう要望いたします。  教員の働き方改革についてでありますが、学校現場をめぐる課題は複雑化・多様化し、学校に求められる役割が拡大する中、教員の多忙化、長時間労働の改善が急務となっております。県教委においても、現場の実態を十分に踏まえつつ、実質的かつ着実に改革を実行されるよう要望いたします。  県警察の機能強化基本計画についてでありますが、警察官の人材確保、若手警察官の早期育成、女性職員の活用など、いずれも極めて重要な取り組みであります。地域警察の再編整備を進めておりますが、犯罪被害に対する県民の不安の声がアンケート結果にあらわれております。限られた警察力で安心して暮らせるための体制整備として、地域情勢を十分に踏まえつつ、さらなる対応に努めていただくよう要望いたします。  少年非行防止・保護総合対策についてでありますが、少年非行の現状、凶悪犯の発生に加え、スマートフォン等の普及に伴う青少年被害の増加など、憂慮すべき状況にあります。特に、児童虐待は全国的にも極めて深刻な状況であり、耳を疑うような事案が後を絶ちません。学校、児童相談所、警察など関係機関・団体の連携を密にし、総合的な非行防止や保護活動の推進に努めていただくよう要望いたします。  森林資源の循環利用の促進については、さきの定例会で成立しました、かごしまみんなの森条例にその趣旨は全て盛られております。林業の成長産業化に向けた国の動きや志布志港における木材輸出の順調な伸びに加え、中国が日本産木材を住宅用構造材に認定し、八月から解禁されるとの明るいニュースもあり、輸出拡大に期待が高まります。木材産業の成長に向けたさらなる取り組みを要望いたします。  奄美群島周辺における油状漂着物への対応についてでありますが、国に対して早急な原因究明と対応を求めるとともに、防除作業は困難を伴うことが想定されますが、漁業や環境被害への影響を考慮して防除作業に万全を尽くしていただくよう要望いたします。  次に、保健福祉関係についてお尋ねします。  初めに、地域医療構想の推進について伺います。  団塊の世代が全て七十五歳となる二〇二五年を見据え、地域における効率的で質の高い医療の確保を図るため、県においては、昨年度、鹿児島県地域医療構想を策定し、医療関係者等との協議の場として、構想区域ごとに地域医療構想調整会議を設置したところであります。  国は、経済財政運営と改革の基本方針二〇一七において、地域医療構想調整会議については、二年間程度で集中的な検討を促進するものとしており、調整会議の進め方として、病床機能報告等を踏まえた役割分担を行った上で、地域における医療機能ごとの不足を補うための具体策等について議論を深め、医療機能ごとの機能分化・連携についての具体的な決定のほか、進捗評価のための指標、次年度の地域医療介護総合確保基金の活用等を含む取りまとめを行うというサイクルを示しております。  また、公的医療機関を初めとする一定の医療機関については、地域において今後担うべき役割等の方向性を率先して明らかにし、地域で共有するため、当該医療機関が作成した公的医療機関等二〇二五プランに基づき、その役割について調整会議で議論することを求めております。  これらの国の方針を踏まえ、現在、県内の各調整会議において議論が進められております。現状把握のための独自調査を実施するなど積極的に取り組んでいるところもありますが、会議の進捗には差が見受けられるようであります。  各調整会議においては、地域医療構想の推進のため、関係者の幅広い意見を踏まえ、地域において患者が安心して医療を受けられる体制が構築されるよう、引き続き議論を深めていただきたいと思います。  そこで伺います。  第一点は、これまでの地域医療構想調整会議における主な議論や、これらを踏まえた病床機能の分化・連携に向けた主な事例についてお示しください。  第二点は、各地域医療構想調整会議の議論に係る地域住民、市町村、医療機関等への情報提供の状況についてお示しください。  第三点は、今後の地域医療構想調整会議における取り組み方針についてお示しください。  次に、子供の貧困対策について伺います。  厚生労働省の平成二十七年国民生活基礎調査によると、子供の貧困率は一三・九%と、過去最悪だった前回調査の一六・三%から改善しましたが、経済協力開発機構─OECD─が五年前に取りまとめた加盟国の子供の貧困率の平均一三・二%を依然として上回っており、深刻な状況であります。  県議会においては、昨年度、子供の貧困対策として、県民への意識啓発や助成制度等の周知、環境体制の整備のほか、生活・教育面における具体的でより効果的な対策の推進を求めて、知事に対し政策提言を行ったところです。  これらの状況を踏まえ、県においては、子ども・子育て支援会議の部会として設置した、子どもの生活支援対策部会における議論や、住民税非課税世帯の未就学児を対象に、医療機関等における窓口負担をなくす制度の本年十月からの導入に向けた、県乳幼児医療費助成の在り方に係る有識者懇談会における協議等を通じて、子供の貧困解消に向けた支援の充実に取り組まれています。  また、県教育委員会においては、学校における子供の貧困に対する気づきや対応などを尋ねる初のアンケート調査を実施し、児童生徒の貧困問題の支援に向けて取り組まれているところであります。  子供の貧困は、個々の家庭の問題ではなく、社会全体で取り組むべき非常に重要な問題です。子供たちの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、官民が連携して支援に当たっていくことが大切です。  そこで伺います。  第一点は、県子ども・子育て支援会議の子どもの生活支援対策部会のこれまでの主な議論並びにそれらを踏まえた今後の取り組みの方向性及び、平成三十年度当初予算への反映状況についてお示しください。  第二点は、県教育委員会が実施したアンケート調査の結果概要及び関係機関との連携を含めた調査結果の活用方策についてお示しください。  第三点は、乳幼児医療費助成の在り方に係る有識者懇談会において出された新たな助成制度に係る医療従事者の負担の増加や、保険者・市町村の財政負担の増加などの課題等に対応するための具体的な取り組みについてお示しください。  次に、認知症対策について伺います。  我が国の認知症高齢者の数は、二〇一二年で四百六十二万人と推計されており、二〇二五年には約七百万人と、六十五歳以上の高齢者の約五人に一人に達することが見込まれております。  国においては、昨年七月に、認知症施策推進総合戦略、いわゆる新オレンジプランを改訂し、二〇二〇年度末における新たな数値目標を設定したところです。また、県においては、新オレンジプランを踏まえて策定した鹿児島すこやか長寿プラン二〇一五が最終年度を迎え、現在、次期計画の策定に向け、協議・検討しているものと承知しております。  認知症対策としては、早期の鑑別診断や適切な初期対応を推進する必要があり、市町村が設置する認知症初期集中支援チームが極めて重要な役割を担っております。  県議会の環境厚生委員会においても、徳之島三町合同チームの視察を行い、その有効性について確認したところでありますが、昨年十二月末現在で、県内四十三市町村のうち二十六市町村の設置にとどまっていることから、今後さらに設置を促進する必要があると考えます。この早期診断・早期対応を含め、市町村における効果的な認知症施策を推進するためには、市町村の実情を踏まえた県の支援が必要であると感じるところであります。  また、認知症は県民の身近な問題であり、県民一人一人が認知症に対する正しい理解を深めることが求められていることや、認知症になっても本人の意思が尊重され、安心して暮らせる鹿児島、認知症の人やその家族とともに歩む鹿児島の構築が重要であることを背景とし、県議会では、昨年十二月、認知症の正しい理解の普及・啓発、認知症予防・早期発見・早期対応、認知症の人やその家族の支援、事業の財源確保等の四項目を柱とした認知症対策について、知事へ政策提言を行ったところであります。  そこで伺います。  第一点は、鹿児島すこやか長寿プラン二〇一五に基づく認知症施策の成果や今後に向けた課題についてお示しください。  第二点は、認知症対策は、認知症初期集中支援チームの設置など早期診断・早期対応を初めとした、住民により身近な地域での取り組みが重要であることから、県として、次期計画においてどのように市町村支援を行っていくのか、お示しください。  第三点は、認知症対策に係る県議会の政策提言を踏まえた次期計画における取り組みについてお示しください。  次に、民泊サービスへの対応について伺います。  急増する訪日外国人観光客のニーズや大都市部での宿泊需給の逼迫を背景に、昨年、住宅宿泊事業法が制定され、ことし六月に施行されます。  同法において、住宅宿泊事業、いわゆる民泊サービスを行おうとする場合は都道府県知事への届け出が必要とされており、知事は、住宅宿泊事業者に対する監督権限を有しております。また、民泊サービスに伴う騒音の発生等による生活環境の悪化を防止するため、必要があるときは、条例で区域を定め、事業を実施する期間を制限することができるとされております。  三月十五日から開始される民泊サービス届け出の事前受け付けに向け、既に規制条例を制定した自治体もあります。当該自治体では、民泊サービスに関する検討会を設置し、現状と課題を把握した上で地域ごとの規制の考え方を整理し、まとめたルールを条例に反映しているといいます。  民泊サービスの大手仲介サイトを確認したところ、県内で二百を超える物件が掲載されておりました。中にはホテルや旅館も含まれておりましたが、鹿児島市中心部から離島に至るまで、マンションや民家の一室など、予想以上に数多くの物件が供給されているという印象を持ったところであります。  また、昨年度、厚生労働省が民泊仲介サイトの登録情報を抽出して行った全国民泊実態調査によれば、正確な住所が詳細に記載されている物件はほとんどなく、半数を超える物件が特定すら困難であり、特定できた物件でも約六五%が無許可営業であったといいます。  無許可営業の民泊サービスが横行する福岡市では、住人ではない外国人グループが玄関ロビーで騒いでいるといった苦情や相談が寄せられておりますが、看板もない無許可営業の民泊は実態把握が難しいとの報道がなされております。  一方で、グリーンツーリズムの農家民泊など、文化や暮らしを体験し、地域との触れ合いを楽しむ民泊もあることから、住宅宿泊事業法に基づく民泊サービスについては、地域住民の安心・安全や生活環境の維持・保全、また地域観光産業の育成・促進の観点から、条例により、地域の実情に応じた運用を行う必要もあるのではないかと考えます。  そこで伺います。  第一点は、県内のホテル・旅館の客室稼働率についてお示しください。  また、全国の状況との比較についてお示しください。  第二点は、厚生労働省が実施した全国民泊実態調査の結果のうち、県内における旅館業法の無許可件数についてお示しください。  第三点は、旅館業法の苦情のうち、無許可営業に関するものの直近三年間の件数及び指導状況についてお示しください。  第四点は、住宅宿泊事業法に基づく新制度の周知状況についてお示しください。  また、同法施行後の無届け出物件の把握方法と指導方法についてお示しください。  さらに、住宅宿泊事業に係る規制条例の制定について、県の考え方及び今後のスケジュールをお示しください。  最後に、県立病院の経営安定化等に向けた取り組みについて伺います。  診療圏人口の著しい減少や深刻な医師不足、診療報酬改定等の医療制度改革など、大きな課題や不安定要因に対応しながら、県立病院が持続可能な経営を確保し、地域に不足する医療や政策医療、高度・専門医療、救急医療などを提供するという重要な役割を継続的に担っていくため、県立病院第二次中期事業計画が昨年三月に策定されました。  初年度の平成二十九年度は、同計画に基づき、県立病院として地域における役割を担いながら、医療機能の一層の充実・強化や経営のさらなる安定化を目指し、各病院においてさまざまな改善方策に取り組んでいることと思います。  県議会においては、環境厚生委員会が、県立大島病院に平成二十八年十二月に導入された奄美ドクターヘリや病院施設の視察を行い、奄美地域及び十島村における救急医療体制の充実・強化が図られていることを確認したところであります。  南北六百キロメートルに及ぶ広大な県土に多数の離島や僻地が存在する本県において、県立病院が地域の中核的医療機関として果たす役割は大変重要であり、引き続き地域医療に大きく貢献されることを期待しております。  そこで伺います。  第一点は、県立病院第二次中期事業計画の初年度である平成二十九年度の医療機能の充実・強化に向けた取り組みと経営状況についてお示しください。  また、それを踏まえた来年度の取り組みについてお示しください。  第二点は、奄美ドクターヘリの運航実績についてお示しください。  また、運航開始からこれまでに見えてきた課題と今後の取り組みについてお示しください。    [知事三反園 訓君登壇] 33 ◯知事(三反園 訓君)乳幼児医療費助成の在り方に係る有識者懇談会で出された課題への対応についてであります。  乳幼児医療費助成の在り方に係る有識者懇談会におきましては、子供の医療費助成に係る新たな制度の創設に伴う課題といたしまして、医療従事者の負担、保険者・市町村の財政負担の増加、医療機関における窓口業務や市町村の事務の煩雑化などが示されたところであります。  こうした課題に対応するために、医療機関の適正受診を促すポスターの作成、子供が急な病気やけがをした場合の対処法を記載したパンフレットの配布、小児救急電話相談のさらなる周知、県広報媒体を活用した適正受診の啓発などに取り組むこととしております。  また、市町村に対しましては、既に子供の医療費助成に係る条例改正のための標準例や受給者証の様式例などを提示したところでありまして、医療機関に対しましては、新たな事務の取り扱いに関する説明会を開催することとしております。  引き続き、県医師会や市町村等と連携、協議しながら、平成三十年十月からの制度導入に向けまして着実に準備を進めてまいります。 34 ◯保健福祉部長(藤本徳昭君)地域医療構想調整会議についてお尋ねがありました。  まず、主な議論等についてであります。  今年度の調整会議は、各構想区域において二回から四回開催しているところであります。各調整会議での主な議論としては、まずは各医療機関が精緻な病床機能報告を行うことにより、地域の現状を正確に把握する必要がある、不足する回復期への病床機能の転換を進めるに当たっては、診療報酬改定も検討要素であるといった意見があったところであります。
     調整会議の議論を踏まえ、病床機能の分化・連携に取り組む医療機関に対しては、地域医療介護総合確保基金を活用し、高度急性期機能を維持するための設備整備や、慢性期から回復期への転換のための経費の一部を助成したところであります。  地域医療構想調整会議の議論の情報提供等についてであります。  調整会議は、市町村を初め、医療関係団体や介護関係団体などに委員として参画いただいているところであります。また、その協議結果は県ホームページに掲載し、住民の方々へ情報提供しているところであります。  同会議における今後の取り組みについて、先般、国は都道府県に対し、平成三十七年に向けて、医療機関ごとの病床機能に係る対応方針を協議することや、医療機関ごとの診療実績を同会議へ提示することなどを示したところであります。  県といたしましては、地域医療構想調整会議におけるこれまでの議論や国の考え方も踏まえ、引き続き、地域医療構想の達成に向けた検討を進めてまいります。  子どもの生活支援対策部会での主な議論や平成三十年度当初予算への反映状況等についてであります。  県におきましては、県子ども・子育て支援会議に子どもの生活支援対策部会を設置し、子供の貧困対策などについて議論いただいたところであります。同部会においては、親の生活が安定するよう支援することが必要、無料で学習支援を受けられる体制づくりが必要といった意見が示されたところであります。  県といたしましては、家庭の経済状況等にかかわらず、安心して子供を産み育てられる環境づくりが重要であると考えており、同部会での議論も踏まえ、平成三十年度当初予算に、子育て世帯が生活支援等について相談しやすい環境づくり、ひとり親家庭等への支援の拡充、生活困窮者自立支援事業を活用した子供の学習支援等に要する経費を計上しているところであります。  認知症に関してのお尋ねのうち、まず、認知症施策の成果と今後の課題についてであります。  認知症施策については、認知症疾患医療センターの機能強化、認知症サポート医等に対する研修の実施、地域での見守り活動の促進、認知症カフェの開設などの取り組みを進めてきたところであります。  これらの取り組みにより、認知症疾患医療センターを核とした認知症の医療・介護連携体制の構築や地域における見守り体制の整備、認知症の人等が集う場の増加など、認知症の人やその家族を地域で支える仕組みが整いつつあるものと考えております。  認知症高齢者等は今後とも増加すると見込まれますことから、さらに、認知症の正しい理解の普及啓発、相談窓口等の周知・広報、認知症の人やその家族への支援強化などに取り組む必要があるものと考えております。  認知症対策における市町村支援についてであります。  認知症施策については、身近な地域における取り組みが重要でありますことから、市町村等との連携を図りながら各般の施策を推進しているところであります。次期高齢者保健福祉計画においては、市町村の取り組みを支援するため、早期診断・早期対応につながる認知症初期集中支援チーム員の養成、認知症地域支援推進員の資質向上、若年性認知症支援コーディネーターを活用した関係者間の連携強化、認知症の正しい理解の普及啓発などを行うこととしております。  認知症対策に関する政策提言についてであります。  県においては、県議会からの政策提言を踏まえ、新たに、県民週間の設定やシンポジウムの開催等に取り組むなど、認知症の正しい理解のさらなる普及啓発を行うほか、全庁的な連携体制も含めた推進体制の強化を図ることとしております。  また、次期高齢者保健福祉計画においても、認知症施策の推進を引き続き主要な柱の一つに位置づけ、認知症予防の推進、認知症の早期診断・早期対応の推進、認知症の人やその家族への支援の充実に向けて、各般の施策を実施することとしております。  県といたしましては、今後とも、次期高齢者保健福祉計画等を踏まえ、さらなる認知症施策の総合的な推進に努めてまいります。  いわゆる民泊に関するお尋ねのうち、まず、県内の旅館業法の無許可件数についてであります。  厚生労働省が平成二十八年度に民泊仲介サイトの情報を抽出して実施した全国民泊実態調査における本県の対象施設数は、百八十一件であります。県において詳細な調査を行ったところ、施設を特定できたものが七十一件で、うち旅館業法の許可を取得していない施設が十一件あったところであります。  無許可営業の件数及び指導状況についてであります。  旅館業法に係る苦情の件数は、平成二十七年度十件、平成二十八年度七件、平成二十九年度が一月末で五件となっており、うち無許可営業に関するものは、平成二十七年度六件、平成二十八年度三件、平成二十九年度が一件でありました。これらの無許可営業者全てに立入検査等の行政指導を行った結果、新たに営業許可を取得したものが一件、営業を停止したものが九件となっております。  無届け物件の把握及び指導方法についてであります。  住宅宿泊事業法の施行を見据えて昨年改正されました旅館業法では、無許可営業者に対する規制の強化が図られ、県知事等に報告徴収及び立入検査等の権限が規定されるとともに、罰金上限額が三万円から百万円に引き上げられたところであります。  県では、近隣住民や関係団体等からの情報提供をもとに施設への立入検査等を実施し、その実態把握に努め、無許可営業が判明した場合は、旅館業法に基づき営業停止の措置を講ずるなど、適切に対処してまいりたいと考えております。 35 ◯教育長(古川仲二君)子供の貧困に対する気づき等に関するアンケート結果の概要等についてでございます。  家庭の経済状況にかかわらず全ての子供が質の高い教育を受けられるよう、各学校においては、福祉などの支援への橋渡しなど、学校をプラットホームとした総合的な対応が求められているところであります。  このため、県教委では、公立小・中学校二百六十七校と県立高校六十一校を対象に、子供の貧困に対する気づきや支援につながった取り組み等について、アンケート調査を実施したところでございます。アンケートの結果では、服装の汚れが目立つことや朝食の摂食状況、学校納金の未納が続いていることなどから、支援の必要性に気づき、就学援助制度の申請やスクールソーシャルワーカーの家庭訪問につながったなどの事例が報告されたところでございます。  県教委といたしましては、この調査結果を各学校に通知し、教職員への周知を図るとともに、今後は、関係部局やスクールソーシャルワーカーなどの専門家と連携を図りつつ、各種支援事業や教育相談等の情報を収集・整理し情報発信を行うこととしており、引き続き、教職員への啓発に努めてまいりたいと考えております。 36 ◯PR・観光戦略部長(西 啓一郎君)いわゆる民泊関係に関するお尋ねのうち、まず、県内のホテル・旅館の客室稼働率についての御質問でございますが、観光庁の宿泊旅行統計調査によりますと、過去三年の本県におけるホテルの客室稼働率は、ビジネスホテルやシティホテルでおおむね六〇から七〇%台となっております。全国では七〇から八〇%台で推移しており、東京都や大阪府では繁忙期には約九〇%になることもあります。  また、本県における旅館の客室稼働率はおおむね四〇%台であり、全国並みでございますが、東京都や大阪府では繁忙期には六〇%を超えることもあります。大都市圏と比較すると、本県のホテル・旅館の需給につきましては今のところ余裕がある状況でございます。  次に、住宅宿泊事業法に基づく新制度の周知状況についてでございます。  住宅宿泊事業法は、ことしの六月十五日に施行予定でありますことから、昨年の十二月に、県内の各市町村を対象としまして、法の趣旨や制度の概要について説明会を実施し、関係機関との情報共有を図ったところでございます。  また、三月十五日から、同法に基づく住宅宿泊事業届け出等の事前行為が開始されますことから、県のホームページにおきまして制度概要等について掲載し、広く周知を図っており、電話等による相談にも随時対応しているところでございます。  住宅宿泊事業の届け出は県に対してなされますことから、国で作成中の事務手続の詳細が決まり次第、随時ホームページ等でさらなる周知を図ってまいります。  次に、住宅宿泊事業に係る規制条例についてでございます。  住宅宿泊事業法では、年間百八十日以内とされている宿泊日数について、住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止するため、必要があるときには、県条例により、合理的に必要と認められる限度において、区域を定めて実施期間を制限することができるとなっております。  条例制定に当たりましては、制限の対象となる市町村の意見を聞くこととなっております。現在、県から市町村に対して意見照会を行い、取りまとめを行っているところでございます。  今後は、市町村の意見のほか、ホテル・旅館等関係団体等の意見も広く聞きながら、住宅宿泊事業を適切な規制のもとに実施するものであるという同法の趣旨を踏まえて、条例制定について、その必要性も含めて検討してまいります。 37 ◯県立病院事業管理者(福元俊孝君)県立病院における医療面の取り組み及び経営状況についてであります。  平成二十九年度の主な取り組みとしましては、大島病院において、週一回の外来診療のみであった神経内科を常勤化したほか、理学療法士などの増員によるリハビリ体制の強化を図ったところであります。また、姶良病院におきましては、精神保健福祉士の増員による訪問看護体制の強化や、病棟の内装リニューアルによる入院環境の改善を図ったところであります。このほか、各県立病院の地域医療連携室の看護師などの増員や専従化により、地域の医療機関との連携強化に取り組んでおります。  平成二十九年度の経営状況は、前年度に比べ、鹿屋、薩南、北薩の三病院において、患者数の減少による診療収益が減収となっており、また、費用面では給与費が増加するなど、厳しい経営状況となっております。  平成三十年度につきましては、大島病院の循環器内科の医師を三名から五名体制とし、診療体制の充実を図るほか、入院患者の早期退院や在宅復帰を支援するため、大島、薩南、北薩の三病院のリハビリ部門に作業療法士を増員することとしております。また、大島病院に放射線治療装置リニアックを更新するため専用の建屋を整備するほか、各県立病院におきましても、順次医療機器の更新を行うこととしております。  今後とも、地域の医療ニーズに対応し、高度・良質な医療を提供するとともに、地域の医療機関と連携しながら、患者や診療収益の確保を図り、第二次中期事業計画に掲げました医療面・経営面の目標達成に向け、職員一丸となって努力してまいりたいと考えております。  続きまして、奄美ドクターヘリの運航実績と課題等についてでございます。  奄美ドクターヘリの運航実績につきましては、運航開始から本年一月末日までの約一年一カ月の間に出動要請が六百八十四件あり、そのうち五百二十八件に出動し、現場搬送が二百十三件、施設間搬送が二百八十七件、出動後キャンセルが二十八件となっております。  患者の搬送先は、奄美群島内の医療機関への搬送が三百六十九件で、このうち大島病院への搬送が三百三十一件と約九割を占めており、また、県本土や沖縄など奄美群島外の医療機関への搬送も百三十一件あったところであります。  これまでに見えてきた課題としましては、搭乗スタッフの負担軽減や重複要請への対応等があります。搭乗スタッフの負担軽減につきましては、救命救急センターの救急医三名に加え、総合内科や脳神経外科の医師をフライトドクターとして養成したところであります。フライトナースについては、現在六名が従事し、一名が研修中であり、今後も計画的に増員を図ることとしております。重複要請への対応については、県本土ドクターヘリや自衛隊ヘリなど関係機関と緊密な連携を図っているところであります。  今後とも、奄美ドクターヘリの円滑な運航に一層努力してまいりたいと考えております。    [永井章義君登壇] 38 ◯永井章義君 それぞれ御答弁いただきました。  地域医療構想の推進についてでありますが、引き続き、各地域調整会議での幅広い論議を踏まえて、一層の体制充実に向けた取り組みを推進されるよう要望いたします。  子供の貧困対策については、県議会の政策提言や子ども・子育て支援会議の論議を踏まえ、効果的な施策の実施に努めていただくよう要望いたします。  また、子供の医療費助成制度については、本年十月の導入に当たって、県が指摘していたさまざまな課題について的確な対応を行うことが重要であります。市町村、関係団体との十分な協議を進め、円滑な導入に向けた取り組みを進めるよう要望いたします。  認知症対策については、誰もが直面し得る身近で切実な問題であります。昨年の県議会の政策提言を踏まえ、次期計画における県のさらなる取り組みを要望いたします。  民泊サービスについては、大手企業の参入も相次いでおり、今後、個人営業なども含めて確実に拡大していくことが見込まれる中、近隣住民とのトラブルや既存宿泊業への影響も含めて、的確に運用されることが肝要であり、住宅宿泊事業に係る規制条例の制定を含めた県の取り組みを要望します。  最後に、県立病院についてでありますが、中期事業計画などに基づき、さまざまな改善方策に取り組まれた結果、五病院全体では経常・資金収支の黒字を達成するとともに、地域の中核医療機関として高度・専門医療の充実が図られております。また、奄美のドクターヘリ導入により、想定以上の成果があらわれております。  引き続き、地域医療の中核として機能充実に向けたさらなる取り組みを要望いたします。  さて、三反園知事の二回目となる来年度当初予算が提案されました。本年度は、大規模スポーツ施設の在り方検討委員会を初め、外部有識者等で構成する委員会構成が相次いで設立され、鹿児島港本港区エリアまちづくり検討事業も実施されるなど、県政の主要な課題に関する調査・検討が進められてきました。来年度は、それらの検討結果を踏まえて、いよいよ主要施策の具体的方向づけを行うなど、知事の県政運営もいよいよ正念場に差しかかるものと考えております。私ども議会としてもしっかりと対応してまいりたいと思います。  以上、県政の課題について質問してまいりました。  私ども自民党県議団は、引き続き、各地域の幅広い実情に耳を傾けつつ、県勢の発展と県民生活の安定のために最大限の努力をもって取り組んでまいる所存であることを申し述べ、自民党県議団の代表質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 39 ◯議長(柴立鉄彦君)これで、本日の日程は終了いたしました。       ───────────── 40    △ 日程報告 ◯議長(柴立鉄彦君)あすは、午前十時から本会議を開きます。  日程は、代表質問であります。       ───────────── 41    △ 散  会 ◯議長(柴立鉄彦君)本日は、これで散会いたします。        午後三時十六分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...